第169回国会 
参議院決算委員会

●決算委員会概要 平成20年4月9日
都道府県労働局におきます不正経理について









































(牧野委員)交際費とかその他というものは一体どういうものなのか。
(小武山智安説明員)交際費は、慶弔費・団体関係の会合費。その他は除草・清掃代・アルバイト代・レクリエーション補助となっている。

(牧野委員)不正経理の中で使途不明がある。使途不明で結論付けていいのか。
(小武山智安説明員)領収書等もなく関係職員の聴取からも曖昧であるものである。

(牧野委員)労働局は本来都道府県ごとの採用である。なのに、同じような不正が全国的に起きていることが不自然に思われる。
(金子順一政府参考人)予算を使い切るといった誤った意識の下で会計をおろそかにしていたこと。また、年度末に予算が集中してしまうことも遠因である。

(牧野委員)まともに仕事をしている労働局もあってもおかしくないはずが、ほとんどのところで不正が見られる。ネットワークがあるのではないかと考えられる。
(金子順一政府参考人)職員団体の関与があったという事実は把握していない。ご指摘のように、ブロック単位での打ち合わせはあるので情報交換は可能。

(牧野委員)会計検査院では労働組合との関連というのはどのように捉えているのでしょう。
(小武山智安説明員)事実を把握するに至っておりません。

(牧野委員)不正に対する処分について。懲戒免職・停職・減給・戒告はそれぞれどのようなことをしたのか。
(金子順一政府参考人)懲戒免職は公金を私的に着服した者。停職は不正経理金の捻出を実行あるいはその上司。減給は不正経理金の捻出を実行あるいはその上司。戒告は不正経理金の捻出を実行あるいはその上司。

(牧野委員)不正経理の実行者が停職・減給・戒告と分かれているのはなぜか。また、刑事告発はしたのか。
(金子順一政府参考人)金額的や職責の大きさを加味して量定が割れている。告発の件ですが、犯罪の事実が明らかになった個人については告発した。

(牧野委員)国庫に負担を与えた分が返還されることは当然であるが、一部返還されず民事で係争中だとうかがったが。
(金子順一政府参考人)個人着服を行った者に関しては返還させる措置を講じている。返還されていないものは、まだ係争しているところである。

(牧野委員)大臣に質問。不正経理の再発防止へどう取り組まれるか。
(舛添厚生労働大臣)原則として懲戒免職とする処分方針を出した。

(牧野委員)社会保険庁の労働組合がやみ専従を行っていたとあった。処分はいかがしたか。
(舛添厚生労働大臣)厳正な処分を行った上で、今後は日本年金機構を作り上げ、能力・使命感に欠けたものは一切採用しないとする。

(牧野委員)地方労働局に対してもやみ専従があったかどうか調べる考えはないか。
(金子順一政府参考人)いわゆるやみ専従のような違法な慣行はないという報告を受けている。

(牧野委員)答えなさいといっても答えませんよ。調べるなら徹底的にやらなければわからない。不正経理をなくすためには徹底した調査をするべきだと思う。
(金子順一政府参考人)よく省内において検討する。

(牧野委員)国民の信頼を回復させることが最優先である。社会保険庁の組織の改善をしたのちのことをうかがいたい。
(舛添厚生労働大臣)年金は実際受け取るのは何十年も先である。そのときには制度も継ぎはぎだらけである。システムの変更のたびに浮いた年金が出る。国民の信頼を政治家が回復するのだという思いでみなさんにご批判とともにご協力賜りたい。

第169回国会 決算委員会(全文) 
第2号平成二十年四月九日(水曜日)






























































































































































































































































































































































































































○牧野たかお君
 自由民主党の牧野たかおでございます。今日は、舛添大臣、大変お疲れのところを御出席していただきましてありがとうございます。まず、都道府県労働局におきます不正経理について質問いたします。この問題は、昨年の参議院本会議で連続三回目の内閣への警告が決議されたということ自体、まさに前代未聞のことだというふうに認識しております。私は昨年の選挙で当選したものですから、その平成十七年度の決算報告書を改めて読ませていただきました。
 その内容を大まかに再度検証いたしますと、会計検査院の二年間にわたる検査によって、古くは平成七年度、多くは平成十一年度から平成十七年度までの全国四十七都道府県にある労働局の支出や委託事業費で七十八億四千四百万円余りの不正又は不適切な会計経理が発見されたというものであります。
 特にこの中で問題なのは、会計法令に違反した不正支出による目的外使用に分類されるもので、合わせて十二億二千四百万円余りに上っています。この事例では、虚偽の内容の書類を作成したり物品の購入をしたように見せかけて、いったん支出した公費を業者に返金させるなどの庁費等の不正支出が十三労働局で六億二千四百万円余り、存在しない相談員を雇用する形式で謝礼金を払ったように見せかけた不正支出が十一労働局で一億六千六百万円、このほか、空出張などの旅費の不正支出が十五労働局で八千万円余りというふうに、もちろん七十六億円余りの全体の不適正な会計処理もあってはいけないものでありますけれども、以上に述べた不正支出というのは言わば犯罪でありまして、これらの行為を各労働局で長年にわたって行っていたということは行政としての機能と倫理が完全に破壊していたと言ってもいいと思います。
 さて、こうした不正を防止するためには、この不正の原因を私は突き止めることだと思います。会計検査院の報告書では、国家公務員でありながら都道府県知事の指揮命令の下にあった地方事務官制度時代の慣行が平成十二年度から労働局へ移行した後も引き継がれて、組織的な不正経理が行われていたと指摘されております。
 それでは、その慣行がどのようにして生まれたのかということでありますけれども、私は、不正支出のその内訳をちょっと探っていくことが一つの背景を知ることだと思っております。その会計検査院の報告の中で別途経理資金というのがありまして、そこで四億三千九百万円余りが使われたというふうになっております。その内訳が、職員の懇親会費が四六%に当たります二億二百九万円と一番多くて、物品購入費九%、三千八百十三万円となっております。
 ただ、内容がまだ分からないようなものもございまして、交際費が三千七百七十六万円、その他が五千九百五十一万円というふうになっておりますけれども、この交際費とかその他というものは一体どういうものだったのか、まず会計検査院に伺いたいと思います。

○説明員(小武山智安君)
 ただいま先生の方からお話ございましたように、平成十七年次及び十八年次の二か年にわたりまして実施した全国四十七労働局に対します会計実地検査の結果につきましては、十七年度の決算検査報告に特定検査対象に関する検査状況として掲記しておりまして、不正又は不適正な会計処理により支出されるなどした金額が約七十八億円であることを記述しております。
 また、不正支出等により捻出しました別途経理資金五億六百万円の使途のうち、四億三千九百万円が使用済みとなっておりましたけれども、ただいま御質問のありました、交際費とその他として分類した使途の例といたしましては、交際費は、慶弔費とか関係団体との会合費、またその他の方につきましては、除草・清掃代とかアルバイト代、またレクリエーション補助というような項目になっております。

○牧野たかお君
 このことはまた後ほどお聞きしますけれども、それとまた、この使途の中で使途不明というものが三千七百四十一万円もありますけれども、不正経理で捻出したお金が使い道が分からないというのもまた変な話じゃないかなと思いますけれども。
 この使途不明なるもののお金というのは、会計検査院で調べてもどういうものか全然分からなかったということですか。それともう一つは、今申し上げたみたいに、使途不明ということが実際そういうことで結論付けていいのかどうか。実際にもう使っちゃっているわけですから、使っていて何に使ったか分からないというのは私は変だと思うんですけれども、その点はいかがですか。

○説明員(小武山智安君)
 別途経理資金の使途につきましては、領収書等の具体的な資料が既に廃棄されているとのことで、詳細につきましては件数も含めまして正確に確認することができませんでした。
 ただ、関係職員から聴取するなどいたしまして可能な限りの調査を行ったところでございます。委員御質問の使途不明のものにつきましては、関係者の記憶等によっても内容を特定できなかったものなどでございます。

○牧野たかお君
 またそれは後ほど聞きます。本来、労働局というのは、さっき申し上げたみたいに、平成十一年度までは地方事務官という身分でそれぞれの都道府県に採用、その都道府県ごとに採用されてその都道府県の中でしか私は異動できない、ほとんどの人が異動しないというふうに認識しておりますけれども、要は、北海道から沖縄まで各県単位になっているのに、同じような不正が同じようなやり方で北海道から沖縄まで起きていると。私はすごく変だなと思いますし、この報告書の中では、関係書類の廃棄とか紛失の状況、また、こういったものはまさに証拠隠滅とか隠ぺい工作に私は近いと思いますけれども、こういったことももう全国同じようなことが起きています。
 なぜそのように、本来、言葉がちょっと正しくないかもしれませんけれども、その県単位である意味遮断されている地方労働局でどうして同じことが、共通性がある同じことが全国各地で起きているのか、私は内部監査を行った厚生労働省として何らかの結論を出しているんじゃないかと思いますけれども、その点はいかがでしょう。

○政府参考人(金子順一君)
 お答え申し上げます。まず最初に、委員から冒頭御指摘ございましたけれども、都道府県の労働局におきます不正経理につきまして三度にわたる警告決議がなされるということで、誠にあってはならない事態であったわけでございます。私ども、今これを深く反省をいたしまして、二度とこのような事案を起こさないよう、今内部統制の強化等に取り組んでいるところでございます。
 それで、今委員から御指摘のあった点でございますが、私どもやはり、今委員の御指摘にもありましたように、労働局の人事は基本的には各県の労働局の単位で行っているということで、これは今後改めるということでもう既に決めておりますけれども、この間そういうことが行われていたということでございます。それにもかかわらず、同種の事案が同時多発的に起きているという背景ということだろうと思います。
 それで、すべての労働局でこういった不適正が行われていた事案の幾つか見てみますと、一つは、支出金を業者に預けまして、後日これを利用して、契約とは異なるような物品を納入させているという、言わば業者に預け金をしているようなケース、あるいは契約した物品が納入される前にこれらが納入されたこととして支出する前払と、先払いといったようなケースがすべての労働局で見られたわけでございます。これは誠にお恥ずかしい話ではございますけれども、職員の中に予算を使い切るといった誤った意識の下で基本的な会計法令の遵守をおろそかにしたという辺りが基本的な原因ではないかと考えております。
 加えまして、私ども本省の方から予算を配賦いたしますときに、どうしても年度末の方に寄ってしまうというような、そういったことも遠因の一つではないかというふうに思っております。
 あと、今御指摘のございました証拠文書が、出勤簿、休暇簿などにつきまして、多くの労働局で廃棄をされていたという問題でございますけれども、これ実は、私ども本省の方の指示がやや舌足らずで足りなかったということもございますことを御理解いただきたいと思います。
 一つは、給与簿、出勤簿につきましては、これは人事院規則で五年と定められておるわけでございますけれども、私どもの地方課長の方から全局の労働局長に出した通知の中に、職員の給与に関するものの保存期間は三年というような書き方をしたものですから、この給与簿、出勤簿はこれに含まれるんではないかというような誤解をしたような節もございまして、こういったことも背景にあったのではないかというように考えているところでございます。

○牧野たかお君
 こういう不正、私は本当に不思議に思うのは、さっきも申し上げましたけれども、同じような手口で同じようなことが、しかも同時多発的とおっしゃいましたけれども、更に言えば、こんなに長く不正が続けられてきたというのは、これはもう組織の中の体質そのものではないかと思いますけれども。
 例えば、さっき申し上げたみたいに、ある意味遮断されている都道府県単位の労働局でありながら、中には、それじゃまともにずっとやっているところがあったっておかしくないと思いますけれども、ほとんどのところで何らかの要するに不正が行われている結果が出ていますよね。だから、これはもう本当にそこの単位で、そこの一単位の労働局の話でなくて、私は、北海道から沖縄まで、これはある意味で現場の私はネットワークがあったんじゃないかと思います。それじゃないと、こういう長い不正というのは恐らく続くことがないというふうに思います。
 そこで、私は、いろいろちょっと資料を取り寄せたりなんかして調べさせていただきましたけれども、本来、地方労働局というのは、労働省の職員組合、全労働省労働組合、全労働でありますけれども、この組織率が非常に高い。本省も合わせますと組織率で八五%。出先の労働局、その監督の下にあります労基署、職業安定所ですと八八%の組織率になっているわけですよね。
 言うならば、私は、先ほどの使途の中で出ていましたけれども、関係団体の会合費とか、そして職員のレクリエーション費ということ、もっと言えば、その前私が申し上げた職員同士の懇親会費二億二百九万円使われているといっても、職員の八八%がここの労働組合の組合員で、職員同士の会合費というのは、飲食代というのは、そこで使われた、不正に使われたお金というのは、言うならばほとんど労働組合の組合員同士の飲食と言ってもいいんじゃないかと私は思うんですが。
 そういうことを考えますと、さっき申し上げたみたいに、北海道から沖縄までの本来遮断されている地方労働局でありながら同じようなことが起きているというのは、一つのネットワークの元になっているのが、先ほど申し上げた現場では八八%の組織率の全労働と全く私は無関係だとは思いませんけれども、その点についてはどうお考えになりますか。

○政府参考人(金子順一君)
 今回の労働局におきます不正経理に関しまして、職員団体の関与があったというような事実については、私どもとしては把握をしていないところでございます。
 先ほど会計検査院の方からも御説明がありましたが、不正金の使途不明といった部分についてもどういった形のものかということが確認をされていないということでございまして、労働組合の関与ということにつきましては確たることを申し上げられる状況にはないということを御理解いただきたいと思います。
 そういう中で、長年にわたってこういった不正経理というのが行われてきたという職場体質の問題、これは様々な要因が作用していた可能性が高いと考えております。そういう中で、あえて一点申し上げるとすれば、人事のシステムが、委員から御指摘ございましたように、大半が県内異動という人事システムを取っているものですから、大変内向きになる、あるいは牽制作用が適切に機能してこなかったという組織風土にあったという点が大きな点ではないかと考えているところでございます。
 それで、これに加えまして、これは私ども調査をした上でのことではございませんけれども、労働局単位で人事は行っておりますが、ブロックの単位で業務に関するいろいろな打合せをやるということは、これはございますので、そういったようなところで何らかの情報交換みたいなものがあった可能性ということについては、これは否定できないのではないかなと、こんなふうに考えているところでございます。

○牧野たかお君
 それでは、ここの検査を二年間にわたって行われた会計検査院の報告書にはそういうことは一切書いてありませんでしたけれども、会計検査院はどうしても報告書だと、それもちょっと言葉が足りません、足らないかもしれませんが、表面上の事実については書かれておりますけれども、なかなか、本来、何でこういう不正が行われたかという本当に深い真相をある意味では会計検査院の方で探り出さなければ、こういう不正というのは私はなかなかなくならないと思うんですが、今回、二年間の検査を行った会計検査院では、今申し上げた労働組合との関連というのはどういうふうにとらえているんでしょうか。

○説明員(小武山智安君)
 労働局におきます不正経理の原因につきましては、決算検査報告に、本院の所見の中で記述しておりますとおり、十一年度以前におきます職業安定行政が地方事務官制度により担われていたことから、これを背景として組織的な不正経理が行われ、その慣行が労働局への移行後も引き継がれていたことなどによるものというふうに考えられます。
 不正の背景として労働組合の存在が関係あったかなかったかという御質問でございますけれども、私ども検査した限りにおきましては、そのような事実を把握するには至っておりません。

○牧野たかお君
 それでは、また関連で後ほど社会保険庁のときにもう一回戻るかもしれませんが、取りあえずこの不正に対する処分について今度は伺います。
 政府が講じた措置という参考資料が出ておりますけれども、これによりますと、八ページに書いてありますけれども、処分者の総計が三千五百三十一名、このうち懲戒免職から戒告までの懲戒処分者が二百七十八名となっておりますが、まずこの懲戒処分者の内訳、懲戒免職十四名はどのような行為をしたのか、以下、停職者十一名、減給九十五名、戒告百五十八名についてはどうなのかということを伺いますが、手短に簡潔に言っていただきたいと思います。

○政府参考人(金子順一君)
 職員の処分でございますが、これは人事院が定めました懲戒処分の指針というのがございますので、これを参考として行ったものでございます。
 懲戒免職につきましては、不正経理によって公金を私的に着服した者、あるいは給付金を窃取した者、又は納入物品を横領した者、こうした者を懲戒免職としております。停職につきましては、不正経理金の捻出を実行した者、あるいはその上司の管理監督責任者。減給につきましては、同様に不正経理の捻出を実行した者とその上司の管理監督責任者でございます。戒告につきましても同様な形ということで、不正経理の捻出を実行した者とそれから上司の管理監督責任者、それぞれがございます。

○牧野たかお君
 懲戒免の十四名というのが私的着服で、これは犯罪も犯罪、当たり前の処分だと思いますけれども、管理監督責任者と不正経理の実行行為者が停職だったり減給だったりというふうに分かれておりますけれども、そういう同じことを、同じ立場の人とか同じことをした人で処分が分かれているんじゃないかと思いますけれども、その分かれているところの基準みたいなのがあるかどうか、こういうことと、この懲戒処分者二百七十八名、不正経理を実行した行為自体が厳密に言えば、法律で言えば、私より専門家の丸山さん隣にいますけれども、公文書偽造だとか詐欺に当たると思いますけれども、そういう方たちに対して、方という敬語を使う必要ないな、そういう人たちに対して刑事告発はされたんですか。

○政府参考人(金子順一君)
 まず、一点目の管理監督責任と不正経理の実行行為者がそれぞれの量定のところにいろいろ分かれている点についてでございますけれども、これは例えば同じ裏金をつくったといったようなことがありましても、例えばその非違行為の重大性といいますか、例えば兵庫労働局のように大変大規模にしたところと比較的金額的には少なかったところ、あるいは実際に管理監督者の責任ということになりますと、全体の総括責任者でございます労働局長あるいは安定所長といったようなことで、その職責の大きさも加味いたしまして、管理監督者でも兵庫労働局のケースについていえば停職処分にしたというようなこともございまして、こういった形で量定が割れているということで御理解を賜れればと思っております。
 それから、もう一点ございました。二百七十八人懲戒処分者のうち何人を刑事告発したのかということでございます。
 これは、今回の不正経理に関する調査の過程の中で、私的に着服、私的着服を行うといったような犯罪事実がないか、多くの関係者から聴き取りを行うなど綿密な調査を行ったところでございます。その上で、犯罪の事実が明らかとなった個人につきましては告発を行ったところでございます。
 具体に申し上げますと、広島、秋田の二労働局で計四名を刑事告発しております。これに加えまして、他の労働局では、刑事告発すべき内容ではあったわけですけれども、事前に私どもの調査の前に捜査機関に逮捕されたといったようなケースもございます。あるいは、職員が失踪して警察に出頭したといったようなケースもございまして、こういったものも今申し上げました四名の刑事告発のほかにあったということでございます。

○牧野たかお君
 そうすると、告発をしなくても捕まっちゃった人もいるし、自分で自首した人もいるということですけれども、少なくとも懲戒免職十四人、まあ十四名は懲戒免職にしているわけですよね、私的着服で。だから、刑事罰を受けたか、要はその対象になるように司法当局に告発するか、司法当局の方で捜査によって捕まえたか。十四名と、要は刑事の部分の人数というのはどういう数になるんですか。

○政府参考人(金子順一君)
 十四名につきましては、今私が申し上げたものの中にすべて含まれているということでございます。

○牧野たかお君
 分かりました。それでは、返還のことについて伺います。
 報告書の八ページにありますけれども、国庫に損害を与えた十一億七千六十一万円を全額返還するというふうになっておりますけれども、これは当然だと思いますが、まだ一億三千二百九十万円ほどが返還されず民事訴訟で係争中だというふうにこの報告書に書かれておりますけれども、これはどういう内容なんでしょうか。

○政府参考人(金子順一君)
 今回の不正経理によりまして国庫に損害を与えた十一億七千六十一万円につきまして、これは個人着服を行った職員、業者、これにつきましては、その着服分を返還させる措置を講ずる、それからそれ以外の者につきましては、事案が発生をいたしました当時の管理責任がある立場にあった者を中心にいたしまして返還をさせると、こういう方針で対応してきたところでございます。
 このうち、個人着服にかかわりますものの一部がまだ返還をされていないということでございまして、それが御指摘の一億三千二百万円余の金額でございます。このうち一億二千八百九十五万、大部分は兵庫の労働局において当時の職員や業者が着服を行ったものでございまして、今、民法上の共同不法行為といたしましてこれらの者に対しまして四件の損害賠償請求訴訟を提起をいたしまして、現在三件について係争しているところでございます。

○牧野たかお君
 それでは、地方労働局をいったんここで終わらせていただくための最後の質問をしますけれども、大臣に御質問させていただきますが。
 今まではちょっと地方労働局の不正経理についてのやり取りをさせていただきましたけれども、これはなかなか組織が変わったから、じゃ、こういう不正がなくなるかというのは、本当に私は組織の中の体質だと思います。この体質を変えていかなければやっぱりこういう不正というのはまたいつか起きてくるでしょうし、また別の形で起きる可能性が私は非常にあると思います。
 舛添厚生労働大臣に、こういうとんでもない不正経理を二度と再び起こさないための再発防止へどういうふうに取り組まれるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(舛添要一君)
 厚生労働省としては平成十七年の七月に、今いろいろ事案、委員がお挙げになったような、不正な金銭を作出した者に対しては懲戒免職を原則とすると、こういう厳しい処分方針を出しました。
 今お挙げになった大部分の件はその前のことでございまして、その反省を含めまして、外部専門家から成ります法令のコンプライアンス、遵守の委員会を設置しまして、内部の点検、内部監査を実施すると。さらに、私が大臣になってからも、二度とこういうことが起こらないように再発防止に万全を期し、本当恥ずかしいことですから、会計検査院に指摘されると、そういうことがないように今後とも万全の努力を行ってまいります。

○牧野たかお君
 それでは、年金のずさんな記録管理の方の問題に入っていきたいと思います。
 舛添大臣はもう至る所で御答弁をされておりますので、御苦労されている姿を見て、私は、大臣が本当に一生懸命やっているのに、果たして現場の社会保険事務所の皆さんはそれにこたえる意思があるのかどうかというふうに疑問に感じるところもあります。
 正直申し上げて、私の家内の年金も漏れていました。さっき聞いたら、石井みどりさんのも漏れていたそうです。あと何人か参議院の中でも漏れていた方がいらっしゃると。それも、私の家内も、結婚して名字が変わったら、その前の、同じ会社にいましたけれども、全部飛んでいました。
 だから、そのぐらいの状況で飛んでいる人が、漏れている人がいるということは、これは本当に根が深い問題であるし、私はその一番の問題は、問題というかこの原因は、本当にこれも先ほど申し上げた地方労働局と同じように、全国の社会保険事務所が本当にしっかりしていればこんな問題は全く起きなかったというふうに思います。
 そういう中で、今回の検査報告の話をさせていただきますけれども、これもちょっと、つい最近新聞に出た話ですが、社会保険庁の労働組合がやみ専従を行っていたということで三月の十七日付けの読売新聞に出ていますけれども、これ中身は、要は、本来、組合の専従ですから休職届を出して公務員としての給料をもらわないのが当たり前ですけれども、そういう専従でありながら公務員の給与をもらっていたと。それがどうやら、不正給与六億円と書いてありますけれども、ちょうどこの年数で見ると平成九年から平成十六年、やはりこれも地方の事務官であった時代が入っております。ですので、私はこれ、社会保険庁も地方労働局も、当時の省庁は違いますけれども、やっぱり地方事務官という制度の中で同じようなことがあったんじゃないかなというふうに思っております。
 このやみ専従の話をちょっとしますけれども、要は、今回のやみ専従という中で、これ新聞で私は読んだだけでございますけれども、今後この処分というのはどういうふうにされるのか、それをまず伺いたいと思います。

○国務大臣(舛添要一君)
 今御指摘いただいたように、東京で十七人、大阪で十二人のいわゆるやみ専従、無許可専従を行っていたということでありますけど、その前に、委員おっしゃったように、私も今この年金記録問題を担当していて、毎日新しい問題が起こってくる、本当にこれ根が深いなと。時間があれば、どういうことが複合的な原因なのか、いずれ本にまとめればこんな厚い本が書けるぐらいだというように思いますけれども。
 そういう中でやっぱり、先ほど労働局についても地方事務官ということをおっしゃいました。三層構造で、その地方事務官そしてまた労働組合が、国民のためじゃなくて自分たちがサボるためにやっていたと、そういうことであります。
 それから、いかにサボるか。一日にキータッチ五千以上やらないとか、三十分ですよ、五千というのは。そういうことをやっていたということ、こういう確認文書は全部破棄させました。その上で、こういうことが二度とないように厳正な処分をまず行う。そして、日本年金機構を今からつくり上げますので、このときにはもう能力、使命感が欠如した者は一切採用しないと、そういう方針で立て直していきたいというふうに思います。
 本当にこれは根が深い問題なので、そういうことを一掃して新しい組織にし、何とか国民の年金に対する、政府に対する、国家への信頼を取り戻すと、そのために日々努力をしているところでございます。

○牧野たかお君
 大臣の御苦労とそして決意のほどは、自民党、内閣支持率が低くても舛添大臣に対する支持率が高いというのはそれが出ていることだと思いますけれども、私はちょっと自分のことでバッジを取って社会保険事務所に行きました。相手も、私も余り有名じゃないですから、社会保険事務所の人も私が国会議員と多分知らなくて応対したんでしょうけれども、正直言って、これだけ国民から叱責を受けて批判を浴びている中であっても、実際窓口へ行くと、私は、余り以前と変わっていないようなというか、親切に応対しようというのは、どうしても受付に行っても余り感じられないようなところがございます。
 それから、年金の相談窓口、実を言うとレクのときに来てくれた人たちにも言いましたけど、要するに看板を立てて、ここで丁寧に応対しますよというような看板も出ていないし、要するに何か本当に前と変わらないなと。私も何回か行ったことありますけれども、本当にお役所仕事だというイメージだったんですが、この時期になっても変わらないというのは一体どういうことかなと、そのとき感じたわけです。それがある意味では、私は、さっき申し上げたみたいに、そこの現場の組織の体質がもう染み付いちゃって、なかなか変わらないんじゃないかなと思います。
 それで、地方労働局の方の話にちょっと戻しますけれども、このやみ専従の問題が社会保険庁で明らかになったんですが、これだけ不正経理を行ってきた地方労働局に対しても、やみ専従があったかどうか調べるお考えはありませんか。

○政府参考人(金子順一君)
 労働局におきます労使関係におきまして不適切な内容がないかどうか、この点でございますけれども、私ども今、ここ何年間か各労働局の責任者から私ども本省においてヒアリングをしておりまして、直近では十九年の十一月に文書による調査も行ったところでございます。その結果では、すべての労働局において本来締結し得ないような覚書のたぐいでございますとか、いわゆるやみ専従といったような違法な慣行はないということで報告を受けているところでございます。

○牧野たかお君
 文書で回答しろとか、多分ヒアリングしてもそういうことは、たとえあってもそういうことは出てこないと思いますよ。恐らく、社会保険庁の方のこういうものが発覚したというのは、大体平成九年から平成十六年まで、こんなに長くやっているわけでしょう。だから、今これが出てくるというのは、三年も四年もたってから過去のことが出ると。不正経理もそうだったんですが、そのとき幾ら形で形式的に、じゃ文書で答えなさいとか、ヒアリングで呼び付けても、答えなさいと言っても、それはなかなか皆さん、答えればこんな不正経理もなければやみ専従も私はないと思いますよ。
 だから、調べるということは、本当に中に入って徹底的に、言うならばそこにいる事務所の職員なら職員を全員聞くぐらいでなければ絶対そんな答えは返ってこない。私も報道記者やっていましたから分かりますけれども、端緒というのは、要するにどこかの末端のことが端緒なんですよ。それからたどっていって、その一番上に、一番核心に迫っていくわけですよね。だから、始めから大網投げて、それでもう分かるかといったら、そんなこと絶対こういうものは分かりません。ですので、やっぱり調査するというのは、そういう調査をしなければ私はいけないと思っております。
 ですので、その調査をやるかどうかは厚生労働省のお考えですから私がやれとは言えませんが、もしやるんでしたら地方労働局もやっていただきたいし、そのやり方も徹底した調査を私はやるべきだと思います。それでないと、本当に不正経理がなくなった、こういう体質がなくなった、もう再発防止ができたということには私はならないと思いますが、いかがでしょう。

○政府参考人(金子順一君)
 今御指摘いただいた点も含めまして、よく省内において検討させていただきたいと思います。

○牧野たかお君
 最後に、舛添厚生労働大臣に御所見を伺いたいと思いますけれども、とにかく今大変な、国民の皆さんの信頼を回復するということが最優先でありますし、また一日一日少しでも、まだ不明な年金記録をどなたのものか解明していくのが今の最優先の年金に関する仕事だと思いますけれども、私は年金の問題は、先ほど申し上げたみたいにサボタージュしていたことが大きなという、一番の最大の原因だと思っています。
 じゃ、サボタージュしたのは、そしたら責任がなくていいのか、責任の要するに追及を受けなくていいのかというと、私はそうじゃなくて、やっぱり年金記録のこれだけずさんな管理をしていて、そして国民の皆さんの信頼を失わせて不安に陥れたというその責任は、横領したのと私は同じぐらいの重さがあると思います。ですので、サボタージュをしてきたこういう過去の要はこの体質、そしてまた今の状況を引き起こした職員の人たちの責任は、私は、やがて組織が変わるといっても、どこかの時点で私はその処分をやっぱり出さなきゃいけないと思いますけれども、今後、もちろん今やっていらっしゃる国民の皆さんの信頼を取り戻すのが一番でありますけれども、それがある程度のめどが付いたら私は厳しい処分をやっぱり出すべきだと思いますけれども、舛添大臣のお考えを伺って、私の質問を終わります。

○国務大臣(舛添要一君)
 先ほどの地方の労働局の話もそうですが、ここまで自浄作用がなくなったときには外からのメスが必要だということで、検証委員会も総務省に置いてやった。相当頑張ってやっていただいて、今の三層構造とかいろんな問題点を摘出してくださった。しかし、何月何日にだれがどういうことをやったからどうだというところまで、例えば文書が五年間しかないとかいろんなことがあって、そこまでトレースできない。これは組織全体の問題であるという形での検証報告しか出ておりません。
 しかしながら、地方においていろいろ、明確に横領したりとか、そういう事案が出てきたときには、これは私はすべて刑事告発するということで刑事告発をずっとしてまいりました。そういうことを含めて、これはやっぱり組織改革のときに、そしてそういう処分を受けた者はもう採用しないと、こういう方針も決めておりますので、全力を挙げて新しい組織にするということであります。
 それで、最後、ちょっと私が先ほどの積年の病弊の中で、やっぱり年金というのは、例えば三十歳の人だったら三十年後にしかもらわないものですから、我々もそんなに気にしない。私も気にしていませんでした、若いころ。社会保険庁の問題のある職員たちも、どうせ三十年後なんだと、そのときにばれるはずない、全部先送りなんですね。自分のときにやらない。
 それからもう一つ、制度が継ぎはぎになっていますから、紙台帳からパンチカードから磁気カードからコンピューター、そのたびに複雑に変わっているけれども、例えば五十嵐さんという名前をゴジュウランというので打ち込むシステムになっているので分かるはずない。そのときに、ゴジュウランなら五十嵐だというのの申し送りをちゃんとやってくれれば、そのときは機械はそれしかできませんから、そしたら苦労しないんです。今何やっているかといったら、残された二千二十五万件のうちの百万以上がそういう数なんです。それを今やらざるを得ない。
 ですから私は、そういう意味でみんなで協力する。そして、実はこれはもう与野党を超えてやるとすれば、各会派がそれぞれ自分の支持母体を持っております。その母体に対して一番厳しくやると。
 私は、全体の公務員制度の改革の中で、労働組合の問題も含め、管理者の問題も含め、これは私たちは、国会議員は国民の代表ですから、これできちんとやっていく、そういう思いがありますんで、これは党派を超えて、私も全力を挙げますんで、是非、国民の信頼を政治が、政治家が回復するんだと、そういう思いで、また皆さん方に厳しい御批判とともに御協力も賜りたいと思います。
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