第169回国会 
参議院農林水産委員会

●農林水産委員会概要 平成20年4月24日
森林の間伐等の実施について


(牧野委員)CO2削減の目標については、平成十九年度は達成されたのか。
(井出道雄政府参考人) 実績の数字そのものについてはまだ集計できていない。

(牧野委員)あと5年で京都議定書の目標を達成しなければならないわけですが、あと5年度目標達成するためには予算はどのくらい掛かるのか。
(井出道雄政府参考人) 年間に一千億円程度と考えている。単純に計算すると五千億円程度掛かると。

(牧野委員)法案の質問。法案と実際の運用で違う部分が出てきていると思われる。交付金事業であり、県に交付金が来ても上乗せ助成はやらないので、あとは市町村の負担になる。地方自治体の負担軽減になっていないがどうか。
(井出道雄政府参考人) 半分の自己負担で今までの間伐ができるもの、もしくはいままで通りの負担で二倍の面積を間伐できる。

(牧野委員)単独事業でやっている自治体のほとんどが過疎地域に指定されている。そういったところに交付金あげるから倍やれといっても厳しいのでは。またオーバーした分の起債も実情にあってないと思う。
(井出道雄政府参考人) 毎年間伐面積を現行の60%は増やさなければならないので、少々の出っ張り突っ張りはあるにせよ、制度は必要だと考えている。

(牧野委員)補助の出る基準が十ヘクタール以上とかになっているが一戸でそんなに広い山を持っている人は中々いない。まとまって十ヘクタールだとしても地主は境界でもめることが多い。間伐をもっと受けやすいように予算をつけてやるべき。この先この政策をどうしていくのかの意図を伺いたい。
(井出道雄政府参考人)初年度ですのでこれからどうなっていくかは不分明である。需要がたくさん出れば来年度の予算を大幅に増やすことを要求することを考えている。

(牧野委員)この交付金事業だが、市町村が林野庁の出先でやり取りするのではなく、県が委託を受けてやると聞いた。県はタダで事務作業が増えるがよいか。
(井出道雄政府参考人) 国が管理しているか、一般の管理かで、国が直接出来なければ県に依頼することになる。

(牧野委員)形上は国から直接市町村となっているが、実際は県を通している。調整に入らなければならないのであるから、もっと県が関与したほうが良いのではないか。今ヒノキの相場が急落し、間伐の後また植林する気にはならない。間伐するにしても補助を受けられる条件を何とかしないといけないと思う。
(若林農林水産大臣)間伐材の売り上げが森林所有者の負担軽減に結びつくように、そのシステムづくりが大切だと思う。

(牧野委員)制度は出来ても、その条件に合うものがないから現実的ではないと思われる。現場の声を聞いて緩和策を講じていただきたい。
もう一つ。人手が足りないのが現状。特に次代を担う若手が足りない。
(若林農林水産大臣)緑の雇用など新規就労者の確保を進めている。若者は高性能機械を駆使して頑張っている。この緑の雇用に力を入れなければいけない。

(牧野委員)京都議定書の期限の五年後以降も、この若手の労働力を活かせる産業を構築する時期ではないかと考えられる。
(若林農林水産大臣)ニュービジネスが生まれなければならないというのはおっしゃるとおり。ニュービジネスを育成しながら林業就業者を定着させていく方向で力を入れていきたい。

第169回国会 農林水産委員会(全文)
平成二十年四月二十四日(木曜日)







































































































































































































































































































○牧野たかお君
 先ほど来、民主党の皆さんの質問、御意見を聞いていますと、余り私たちと違わないやと、何でほかの委員会では対立しているのかなというような気がしましたが。
 私は、この法案中心にちょっと質問をしていきますけれども、まず、CO2削減の目標を定められて、六年間で三百三十万ヘクタールの間伐を実施するという話でございますけれども、十九年度、補正も入れて七百六十五億円を使って、確保して整備を進めてきたわけですけれども、まず十九年度の目標の数値は達成されたんでしょうか。

○政府参考人(井出道雄君)
 平成十九年度についての実績というお尋ねでございますが、間伐の場合は、木の成長が止まります秋以降に本格実施をされますので、実態的には昨年の秋から年度末である三月までに集中的に実施をされてきております。そのため、残念ながら十九年度全体の実績は現時点ではまとまっておりませんけれども、これだけ予算を付けまして、十八年度は三十四万五千ヘクタールであったわけでありますから、それと比較すればもちろん相当程度の増加が見込まれると考えております。実績の数字そのものについてはまだ集計ができておりません。

○牧野たかお君
 これからあと五年で京都議定書の目標を達成しなきゃいけないわけですけれども、毎年毎年、実際に本当に五十五万ヘクタール間伐できなければ目標が達成できないわけですので、やっぱりその年度年度でちゃんと達成したかどうかチェックをしながら、もしその年が駄目なら翌年にどうやって増やしていくかということを考えていかなければいけないんじゃないかなと思いますが、それをこれから頑張っていただきたいと思いますけれども。
 あと五年で達成をするとすると、予算的には一体幾ら掛かるんでしょうか。

○政府参考人
(井出道雄君) 年に二十万ヘクタールの追加間伐をしようといたしますと、現在の標準的な事業単価を用いまして、さらに先ほども言いましたように路網の整備などもしなければなりませんので、国費に国以外の者による負担を加えたいわゆる事業費ベースでは、この二十万ヘクタールで一千億円程度のコストが掛かるというふうに試算をいたしております。ですから、五年間でいえば、単純に計算すれば五千億円程度の事業費が要るわけでございまして、ただ、国費が幾らかについては、この事業の種類によりまして、あるいは対象森林によりまして、国の負担割合が異なっておりますので一概には言えないわけでありますが、御承知のように、十八年度補正予算と十九年度当初予算では七百六十五億円、十九年度補正予算と二十年度当初予算を合わせて五百四十六億円を措置してきたところでございますから、おおむねこの程度のお金は単年度で掛かるだろうというふうに見込んでおります。

○牧野たかお君
 それじゃ、法案の方の質問に入っていきますけれども。
 私、この法案、審議が延びたものですから、資料を何回も何回も林野庁の方からいただいて説明を受けましたけれども、内容がよく分からないというか、難しいというか、法案と実際に運用の部分とかなりちょっと違うんじゃないかなという疑問を持ったものですから、私、自分の県だったり森林組合辺りにいろいろ、もう林野庁から説明が行っていますので、実際に聞いてみました。かなり正直言って各地方自治体、県や市町村や森林組合は戸惑っているというのが私の率直な感想です。
 それは何でかというと、地方自治体の負担を軽減するといって書いてありますけれども、これは交付金の事業ですので、要は市町村からすると、今までの要するに補助事業だと、国が五割そして県が二割、その森林所有者、市町村によって単独事業で助成をしているところがありますんで、そういうのからすると、交付金が五割来たとしても、県は実はこの都道府県でいうと、こういう交付金事業に上乗せ助成は普通やらないそうなんですよ。そうすると、市町村は、お金来るけれども五割、要は県の分来ませんから、市町村は負担が実はこれは重くなってしまうというふうに私は言われてしまいました。
 ですので、まずそこがちょっと認識が違うと思いますが、それ、どうでしょうか。

○政府参考人(井出道雄君)
 市町村交付金につきましては県を通しませんから、市町村交付金による間伐については、県費の負担は望めません。しかしながら、御説明いたしておりますように、従来から四百を超える市町村におきまして、市町村で単独事業で、自分たちのお金だけで頑張ってやってくれています。こういった市町村におきましては、今度交付金でお金が来ますから、ありていに言えば半分の自己負担で従来の面積規模の間伐ができることになる、あるいは考えようによっては、従来の負担を継続するのであれば、その間伐の面積を二倍にできるということになろうかと思います。
 さらに、この事業とリンクした形では地財措置もございますので、ですから、あくまで補助事業として国、県、森林組合と流れていく本流がありまして、市町村交付金というのは言わば支流なんですけれども、その支流の市町村単独事業で頑張っていらっしゃる方に援助をいたしたいと、半分見てあげるかあるいは面積を倍にするか、そういうことができるようになるという代物であるということでございます。

○牧野たかお君
 まず発想がちょっと地方から見た目と違うところは、要するに起債を認めると言っているのも、過去の三年間でやってきたものをオーバーした分に起債を認めると言っているんでしょう。そうすると、今まで精いっぱいやってきた市町村とか、まあ県は要は事実上補助金出しませんので県関係ないといったら関係ないんですけれども、要するに今までやったところに更に倍やりなさいよと言ったって、市町村の負担というのはもう財政的にかなり厳しくなっておりますのでなかなかできないというのと、要するに、一生懸命私も調べさせてもらいましたけれども、千八百のうちの四百十八の市町村は単独事業でやっていますけれども、そういうところは大体みんな山の方の過疎地域に指定されているような、そういう町村が多いんですよね、私のところもそうですけれども。
 だから、そういう厳しい元々財政状況のところが一生懸命やっているんだけれども、そういうところはもう手いっぱいなんですよね。そこに交付金あげるから倍やれと言ったってなかなかできないというのと、今までやってきた分のオーバーした分を要は起債認めると言っていますんで、ちょっとそこは市町村の方と林野庁の考えている方の、上から見た目だとそうなっちゃうかもしれないけれども、ちょっと実情に合ってないのかなという気がするんですけれども、いかがでしょう。

○政府参考人(井出道雄君)
 地財措置につきましては、従来、この間伐等について地財措置をお願いしたいと申し上げましても、これは私有財産でしょうということで相手にされてきませんでしたけれども、今般は、この三十五万ヘクタールを毎年二十万ヘクタール増やすと、六〇%も増やさないと三・八%が達成できないわけですから、これは都道府県なり市町村の御負担をどうやって解消していくかということは、これは国としての三・八%というのは約束だからということでお願いをし、そういうことならということで認めていただいたものでございまして、そういう交渉経過からして、増えた分だけだと、三十五万までは駄目だと、従来どおりなんだからと、増えた二十万ヘクタール分に見合う分だけ対象にしようという話でございます。
 私どもとしては、この際、根っこから対象にしていただくのが有り難いわけでありますけれども、元々私有財産だからという高いハードルがあったところに一応そういう穴が空いたという点では評価をしていただけるんではないかと思っております。
 ただ、おっしゃられるように、地方公共団体においては、従来から間伐に一生懸命やっていた市町村と余りやってなかった市町村があるのは事実でございまして、スタートラインが若干違うんじゃないかとか、そういう点はあろうかと思いますが、国が制度をつくります際には、若干、個々の市町村、県に下ろしていったときに、得をするというのは語弊がありますが、評価を受ける自治体と、そういうことは自分でやっていたんだという自治体と出てくるところはあろうかと思いますが、何しろ三十五万を五十五万にするわけですから、大なり小なり拡大をしていかなきゃならないと、市町村単位でも県単位でもですね、そういうことはあるわけでございますので、少々の出っ張り引っ込みはあるにせよ、やはりこういう制度は是非必要ではないかというふうに考えております。

○牧野たかお君
 私もこの法案に反対するわけじゃないんですが、簡単に言うと、結論から言うと、やらないよりやった方がいいということは思いますけれども、ただ、本当にその五十五万ヘクタールを毎年間伐をしていかなきゃいけない、私は、この京都議定書のCO2削減というのが今の森林整備の追い風だと思っていますけれども、だからそれを活用しない手はないと思いますので、あらゆる手段をやっていただくのはいいと思っていますが。
 ただ、もうちょっと根本的な話の中で、根本的な要するに政策の中で間伐の対策を考えていかないと、こういう交付金の、これは伺ったところによると十億円の交付金ですよね、年度でいうと。だから、いろんな作業道を造ったりとあるけれども、計算するのは大変ですから、簡単に言えば、じゃ一ヘクタール当たり二十万のお金の交付金とすると、五千ヘクタールしかできないわけですよね。だから、要は追加分だけで二十万ヘクタールやらなきゃいけないのに五千ヘクタール分しかこの法案に基づく今年度の予算というのはないわけですよね。
 だから、そういうところの、言うなら、全体からいえば数%のことを一生懸命考えるより、元のところで、今までやっている政策の中でもっと今の国の補助ではまる、例えば四十五年成長ではまるという、十ヘクタール以上のまとまった面積であるとか五戸以上でまとまってやるとか、そういう制限が付いていますけれども、そういうのを取っ払って要は三ヘクタールでもいいよとか、五戸とか何かじゃなくて、大体山というのは、私のところもそうですけれども、まとまって持っている人はいないんですよね。こっちの山にあってあっちの山にある、全部足して持っている人で五十ヘクタールとか百ヘクタールとか、もっと多い人もいますけれども。
 ですので、十ヘクタールというふうにまとまってというと、何人かで話をしてやらなきゃいけないんだけど、山の持ち主というのは大体境でけんかしているくらいですから余り仲良くないんですよね。だから、そういう人たちでまとまらなきゃ駄目だよというのは実は余り現実的な話じゃないんですよね。だから、そういうところを緩和していって、もっともっと森林所有者が、今は特に、先ほどもお話が出ましたけれども、要はそこに住んでいらっしゃらない方もいるし、もっと言えば、たとえ住んでいても、もうそんな山に入って手入れするような技術も何も持っていない人がほとんどですので、森林組合に委託するしかないんですが。ですので、そういうもっと間伐を受けやすいようにしなきゃいけないと思うんですよね、所有者が。そのためのいろいろ政策で、そこに予算を付けてやっていくことは私は大賛成なんですが。
 これは根本的な問題ですけれども、今回の法律の交付金の事業というのは、これは試験的にやるつもりでこのことを考え出したんでしょうか。今の森林の整備の政策をこういう方式にやがては変えていくために試行的にやってみようと思って出したのかよく分かりませんが、そこら辺の意図は何でしょうかと思うんですが。

○政府参考人(井出道雄君)
 森林整備につきましては、三十五万ヘクタールであれ五十五万ヘクタールであれ、これだけの面積をしっかりやっていくということになりますと、やはり大宗は従来からやっております国庫補助事業で、国から県、それから森林組合という形でやっていくのが大宗だと考えます。
 ですから、その大宗を占める国庫補助事業の実施に伴います地方負担の軽減、平準化ということで、私どもこの法案の中でも都道府県や市町村に起債を認めていただくということをお願いをしたわけでございますし、それから市町村の交付金については、先ほども申し上げましたように、そうはいっても四百を超える市町村で頑張っていただいているわけですから、こういった小回りの利く事業についても支援をしていきたいと。
 ただ、初年度であって、本当にどの程度やっていただけるのかということについてはまだ不分明でございますので、これからこの法案が成立した暁には、県、市町村、その他関係者によく周知徹底をして、市町村が、そういう制度なら自分たちが今までやってきたことの中にうまく組み込んで使ってみようということで需要がたくさん出れば、来年度の予算でもっと大幅に予算を増やしてほしいと要求するということも考えたいと思っております。

○牧野たかお君
 それで、私ちょっと疑問に思ったのは、これ交付金事業ですよね。それで、林野庁に聞いたら、それじゃ市町村が林野庁の出先へ行っていろいろやり取りするのかという話をしたら、そうじゃなくて、一応県が委託を受けて交付金のことも要するにやるという話なんですが、そうすると県の事務の仕事が出てきちゃうわけですよね。県はただでそれをお金も何にももらわないでやるというのも、何か私はちょっと、そういうことってあるのかなと思ったんですが、それはどういうことなんでしょう。

○政府参考人(井出道雄君)
 事務の流れとしては国がやるべきことを県に委任をしてお願いをするということはございますが、それは、林野庁の出先というのはいわゆる国有林を管理している森林管理局森林管理署でございますので、この一般民有林の事業についてそちらのルートからお金を流したり、その調整をしたりすることは考えられませんので、その事務の手続としては、国が直接できなければ県にお願いをして手続を取っていただくということになろうかと思っております。

○牧野たかお君
 交付金の事業と補助事業は違うものですから、だから、形上は県を通さずスルーで市町村と書いてあるんだけれども、実際は県が関与するんですよね。だから、本当だったら国と市町村のこういう一つの形式上の話ですけれども、というのは、実際的には市町村というのは、なかなかそうは言っても、国から来たのを直接受けるかというと余り受けないですよね。やっぱり県が調整に入らないとこういう事業というのは、私は今までの経験からいってもなかなかうまくいかないなということを思っているんですが、だからそこも、制度上交付金の事業ですから、それはそれでいいですが、中身はやっぱりもうちょっと県の関与をしてもらった方がいいんじゃないかなと思います。
 時間もそんなになくなりましたので、あと大臣に、今の法案の関係をした質問をさしていただきたいと思いますが、今木材業界というのは、実は昨年の秋からヒノキが急に相場が下がって、実際に林家に言わせれば、とても間伐をしてその後また植えてというような気持ちには全くならないと。だから、そういう意欲がどんどん後退していますけれども。
 さっきの補助制度、また今回の法案にもかかわる話ですけれども、補助金の制度の中でいうと、さっき申し上げたみたいに、ある条件を満たしていれば高齢樹林、樹齢のやつもその対象になるんですけれども、実質的にはなかなか、さっき申し上げたみたいに、そう簡単にまとまって、十ヘクタールになるとか、五戸の林家が、隣接している林家でしょうけれども、それがまとまって間伐の対象となる計画書を出して助成を受けるというのはなかなか難しいんですよね。
 だから、そういう条件にはまらないところの高齢林が今いっぱい増えてきて、国の方針も、要はなるべく八十年とか百年とかそういう長尺材を作るための樹齢を延ばしていって森林を保全する、整備するという政策に変わっているんですが、そうすると、間伐というのは必ずしも一回で済まなくて、三十年でやって五十年でやってもう一回やらなきゃいかぬとか、要はそれだけ延ばしていくと間伐の回数も本当に増えてくるんですよね、そうしないと山というのは保全できませんから。
 そうなっていくと、長い樹齢を持っているところだって、そういう山林だってやっぱり間伐をしなきゃいけないんですが、今の制度ですと、事実上、条件を満たさない限りは補助金を受けられないんですよ。だから、これを何とかしないと、私は本当に日本全体の森林の整備というのはできていかないと思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君)
 委員十分御承知のことでございますけれども、国内の森林資源というのは戦後植林をしました人工林を中心に徐々に充実をしてきているわけでございます。
 ところが、今までの材価の関係がありまして、今までのものであれば間伐をすることによってそれが一つの収入になる、中間的な収入になるということでありましたが、なかなか間伐で収入を得るということが難しいという事情の中で非常に間伐が遅れてきたということが続いたわけでございます。しかし、間伐によります収入という、その売上げというものを森林所有者に還元するシステムを確立していくということは、森林所有者が間伐をしようという意欲を持ってもらうということで非常に基本のことであると思います。
 そこで、齢級については、何回かにわたってその齢級を高い齢級にまで引き上げていきながら助成の対象を拡大してきたという経過がございます。一方、間伐材について、用途について言いますと、今まではなかなか間伐の用途が限定されていて売れないということでありましたが、最近、合板とか集成材とか非常に進んできておりまして、それらの新規需要が国産材について非常に出てきているということがございます。そういう意味で、齢級の比較的高い森林ではこういう間伐材の売上げが森林所有者の負担軽減に結び付くということが出てきておりますので、そのシステムづくりが大切だというふうに考えております。
 あわせて、二十年度には、四十六年生以上の森林を対象にして民間資金を活用して整備を行う新規事業もこれを導入して、そういう高齢級のものも間伐を進めるような対策を併せて講じていきたいとも考えております。

○牧野たかお君
 ありがとうございます。
 ただ、さっき申し上げた、くどいですが、要するに、そういう制度はつくってもらっているんですけれども、条件が要するになかなか現実的にはまらないものだから対象とならないんですよ、現実的には。だから、その条件を緩和しない限りは、幾らいい制度をつくっても受けてくれる人がいない、受けられないというのが現状ですので、そこはこれからちょっといろいろ緩和を、本当に現場の声を聞いた上で緩和策を考えていただきたいと思います。
 ただ、もう一つ今度質問しますけれども、実際、森林組合は、私の周りとか静岡県だけの話かもしれませんが、ここ五年間、国の政策、また各都道府県がさっきお話がありましたように森林の保全の環境税等を法定外目的税でつくりましたので、仕事量が本当に増えていて、ある意味では公共事業も、昔は仕事がなくて、作業班を生活のために、食わせるために県の仕事で何かないかと、そういう話だったんですが、今はもうそうじゃなくて、逆に人手が足りなくてあっぷあっぷの状態なんですけれども、ただ、若い方がまだ少ない。
 ですので、静岡県でいうと、今平均で森林組合の職員、作業班の方たちも入れると五十八だそうなんですけれども、若い人がこれからどんどん入っていかなきゃいけないんですが、その若い人を確保するというのもこれから大事だと思いますけれども、それについてどう国としてやっていこうかというふうに思っていらっしゃるか、お伺いします。

○国務大臣(若林正俊君)
 先ほど、井出長官の方から御説明を申し上げておりますけれども、やはり若い林業就業者を確保しないと、実は今、高能率の機械を入れて施業の集約化に伴う生産性を上げるというようなこともできないんですよね。そういう意味では、若い人が林業に従事するというようなことを進めるという意味で、緑の雇用などによる新規就労者の確保を進めております。
 私も現地幾つか参りまして、そういう若い人たちと直接お話もしました。大変意欲的で、大学卒で他県から入った人たちも、緑の事業に従事できるということで大変意欲的な人たちと何人もお会いしました。そういう人たちはもうとても、作業の現場へ行ってみますと、今までの林業就労者ではできないような高性能機械を駆使して頑張っているんですね。そういう意味では、やはり緑の雇用で効果も上がってきておりますので、この事業を中心として新規就労者、若い新規就労者を増やしていく。
 そのときに感じておりますのは、その人たちの地域における生活条件ですね。そういう、まだ独身の人がほとんどなんですね。いずれこれが定着するとすれば、結婚をしてやっていけるような、そういう処遇も併せて考えていけるような、主として森林組合が受け入れているんですけれども、素材生産組合が受け入れている場合もあります。そういう意味では、関係団体、受け入れた関係団体あるいは市町村ともよく協議をしながら、生活環境整備なんかも含めて力を入れて、この緑の雇用を中心とした新規就労者を増やしていくということに力を入れなきゃいけないと、こんなふうに考えております。

○牧野たかお君
 これから五年間は私はそういう、山の所有者はそんなにいい時代と思わないかもしれませんが、請負をする森林組合とか素材生産の関係者はすごく、多分今までにない仕事量があって、ある意味では上昇するような、高揚するような、そういう気持ちじゃないかと思いますけれども、ただ問題なのは、これ五年間たったら、京都議定書の目標の三百三十万ヘクタール、できるできないにかかわらず、そこで終わっちゃいますので、そうした後に、この五年間で採用した人たちがまた仕事がなくなってまた分散していくようなことになってしまうと、せっかく集まってきた若手の若い労働力がなくなっちゃいますので、長い目で見たときに、私はこの五年間というのは、間伐をして森林整備をして仕事を削減すると同時にそういう素材生産の産業をもう一度再構築するという時期じゃないかと思いますけれども、将来に向けての、今私が申し上げたみたいなことをお考えになっていらっしゃるかどうか、伺います。

○国務大臣(若林正俊君)
 私は、委員が今御指摘になられましたように、新しいビジネスが生まれてこなきゃいけないと、生まれてくる可能性は非常に高まってきたという実感でございます。
 それには、やはりそういうニュービジネスが既存の森林組合や素材生産業者とうまく組めるような、コーディネートするような状況というのはつくっていかなきゃいけないと思いますけれども、いずれにいたしましても、今のようやく出てきた、先行き明るく出てきた、明るさが見えてきたこの状況というものを定着をさせて、森林整備というものが一つの産業として確立していくような形で軌道に乗せなけりゃいけないという思いが非常に強うございます。
 そのときには、まさにその担い手が大事でございますから、森林組合、素材生産事業者、そしてそれらをつなぐような形で更に出てくるでありましょう請負の事業体、新しいニュービジネスなども育成しながら、それらの人が責任を持って林業就業者を定着させていくという方向で力を入れていきたい、このように考えております。

○牧野たかお君 終わります。
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