第169回国会 
参議院決算委員会

農林水産委員会一般質疑E  (2008年6月10日) 抜粋
農産物の輸出促進について


(牧野委員)近年、世界的な日本食ブームとなっており、農産物の新たな販路として海外に輸出することが増えた。しかし、相手国の関税が高いことが大きな障害となっている。例えばお茶を韓国に輸出した場合、日本で100グラム1000円のお茶が韓国で6000円にもなってしまう。
このように高い関税を下げる努力を農水省はしているか?
(吉村総括審議官) 相手国の関税を引き下げるということも、非常に重要な問題である。EPA(経済連携協定)を基本的に考え、みどりのアジアEPA推進戦略の中で、日本の農産物の輸出を促進するとある。個別のEPA交渉においても、関税引き下げを行っている。

(牧野委員)日本の農政は、米が中心であることは認識している。しかし、生産額やカロリーベースで
計算されないような農産物に対しても、輸出に力を入れていただきたい。大臣の考えは?
(若林農林水産大臣)関税というものは、交渉ごとで決まってくる。相手国との利害で関税を決めているので、どの品目を軽視しているということはない。韓国とは、今後EPA交渉を再開し、その中で考えていきたい。

(牧野委員)国内で品種改良された種苗が、違法に海外に持ち出され栽培された後に、逆輸入される事態が発生している。この対策はどのようにしているか?
(若林農林水産大臣)いわゆる知的所有権である。開発者の権利は、守らなければならない。輸出をするにあたって、それぞれの国の法制度の下で、日本の品種が保護されることが大事である。海外諸国の植物品種の保護制度ができてないところは、作ってもらう働きかけを行っている。

木質系バイオマスの利活用について

(牧野委員)バイオエタノールの生産について、非農産物のセルロース系の利活用に重点を置くことは理解しているが、木質系バイオマスでは、とうもろこしに比べてコストが1・35倍になっている。これは原料を糖にする工程の違いであるが、木質系バイオマスを振興させるためには、生産コストを下げる必要がある。研究はどうなっているか?
(井出林野庁長官) 製造工程においてリグニンという成分の分離がある。これが、非常に手間取っているものである。現在は、リグニンの分離技術の開発をすすめている段階である。また、リグニン自体の再利用にも取り組んでいる。

(牧野委員)民間企業や大学において研究するところを公募すると聞いた。研究関係の予算が12億円となっていたが、バイオエタノールの研究として、どのくらいの予算を組んであるのか。また公募の状況の具体的な状況を伺いたい。
(井出林野庁長官) 12億の内訳ははっきり決まっていないが、およそ3分の2を使っても良いと考えている。公募については、各大学・研究機関・化学メーカーから問い合わせが殺到している状況である。

(牧野委員)木質系バイオマスのエタノールは、将来の日本のエネルギー資源になると思う。将来的に製造技術が完成したときに問題になるのが、材料である間伐材をどうやって運ぶかである。今のままでは、購入費よりも運搬費の方が、倍かかってしまう。対応をどう考えているか?
(井出林野庁長官) 路網の整備や高性能林業機械の組み合わせが重要だ。素材生産現場で発生した枝や丸太は、出来るだけ粉砕して軽くする。こういった施策をしながら、収集・運搬コストの低減に努めたい。

農薬の登録適用拡大について

(牧野委員)平成14年度の農薬取締法において、登録された農薬のみ使用が許可されるようになった。また農産物をグループ分けして、同じグループでは同じ農薬が使用できることになったが、まだグループ分けされていない農産物も多い。グループ分けをされていない農産物はどのくらいあるのか?
(佐藤消費安全局長)「農薬の登録申請に係る試験成績について」の運用についてというものに定められている。798の作物が記載されている。このうちグループ化されているのは、173作物である。なので、現在グループ化されていない作物は625となる。

(牧野委員)農薬を作るのは民間会社であるが、生産量の少ない農産物に対して研究開発のコストをかけて、その農産物専用の農薬を作れと言っても無理がある。例えば「わさび」であるが、青虫の被害が一番多いと聞くが、ワサビ専用の農薬はまだ開発されていない。他の農産物グループに入らなければ使用できる農薬もない。こうしたグループ分けされていないうえ、生産量の少ない農産物の取り組みをどうするか?
(佐藤消費安全局長)グループ化することで、個々の農薬登録の煩雑さを解消できるが、グループ化するために科学的・合理的な説明が必要である。ワサビの件であるが、必要なデータを収集し油虫用に新たに3種類の農薬を登録した。青虫用のデータは生産県に収集を求めている。

(牧野委員) 国が農薬の登録制度を決めたのだから、生産県や生産者だけにデータの収集を求めるだけでなく、国がもっと積極的に関与するべきと意見として述べておく。
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