第168回国会 参議院第7回農林水産委員会 |
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農林水産委員会質疑A (2007年12月6日)抜粋 | ||||
食料自給率について | ||||
(牧野委員)日本の食料自給率が39%になっている。しかし食生活も変わった中で同じカロリーベースで計算している。指標の計算の仕方が違うのではないかと思われるが、いかがか。 (岡島正明政府参考人) 現在の食料自給率の目標には、消費面における栄養バランスの改善の観点が反映されているとともに、国内生産で賄われるべき内容についても考慮していると考えている。 (牧野委員)カロリーベースの自給率というのは名称がおかしい。自給率というより構成率である。自給能力が39%しかないと勘違いしてしまう。自給能力を表せる数字を併用しないと誤解を与えてしまうのではないか。 (若林農林水産大臣)たしかに食料自給率ということですべてを判断するとおかしなことになってしまう。しかし、これは総合食料自給率と捉えていただければ理解していただけると思います。 (牧野委員)では、日本の国内生産力が日本の人口の何割を賄うことが可能なのかといデータを作ってはいかがか。米をこれだけ生産できることを明示してはいかがか。そして米に一番合う飲み物であるお茶であるが、こちらの普及にもどのように取り組むお考えか。 (若林農林水産大臣)各種イベント、子供達へお茶の入れ方を教える教室、日本茶インストラクター制度など需要拡大を試みております。 (牧野委員)先ほどのカロリーベースの食料自給率ではお茶はカロリーがないものですから重要視されません。これからも振興を図っていきたいと思います。 委員として意見なのですが、この農林水産委員会では牛乳が用意していただいています。お茶も出していただけるとありがたいです。 |
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森林の整備について | ||||
(牧野委員)森林が多面的機能を発揮するためには適切な間伐や枝打ちがひつようです。国の補助で森林整備をしても個人の負担が大きい。そのため森林整備をする人が減って山は荒廃している。新たな補助金制度が必要である。また花粉症対策として植え替えを推奨することで花粉症が抑えられる。森林整備の一環にもなるのでこの件も重ねて補助が必要と考えられる。 (辻健治参考人) 補助制度の一つとして簡易で壊れにくい低コストの作業路を入れていくこと。公益的機能の高度発揮が期待されている保安林については国が二分の一、都道府県が二分の一となっている。花粉症対策については地球温暖化防止森林吸収源対策の予算を充てたい。 (牧野委員)個人負担が払えないから個人負担をなくすしかないと思う。 |
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第168回国会 参議院第7回農林水産委員会(全文) | ||||
○牧野たかお君 これまで農林水産委員会では民主党さんのあの農業者戸別所得補償法案の審議に専念しておりましたので、まだ私、政府の側の皆さんに質問をしていないものですから、今日初めて質問さしていただきます。今までそういうやり取りの中でいろんなことを学ばせていただいたことを踏まえて質問さしていただきますけれども、まず食料自給率の質問をさしていただきます。 これまでも米政策の中で必ずこの食料自給率というのが出てまいりましたけれども、現在の我が国の食料自給率は、カロリーベースで四〇%を切って三九%になっていると言われております。この数字は、私たち日本人の一日当たりの食料としてのカロリー供給量二千五百四十八キロカロリーのうち、そのうち国内生産の食料で何%を賄っているかとされているものでありますけれども、数字の三九%という厳しさは感じるわけでありますけれども、一般的に言いますと、この数字の厳しさと裏腹に、お米が余っているような状況の中で本当に自給率は三九%なのかというふうに疑問に思っている方は、私を含めて一般の方一杯いらっしゃるかと思います。この考え方については後ほど申し上げますけれども、とにかくぴんとこないというのが私は一般的な方たちの一般の実感ではないかと思います。 そもそも、このカロリーベースでの今使われている食料自給率を採用して農政の目標にしたのはいつごろからで、どういう目的のために採用されたのかということを伺いたいと思います。 ○副大臣(岩永浩美君) 食料の自給率については、平成十一年の七月に策定された食料・農業・農村基本法において、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として、農業者その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにしてその目標を定めるものとされました。 これを受けて、カロリーベースの食料自給率の具体的な目標については、平成十二年の三月に策定された食料・農業・農村基本計画において、基本的に五割以上を目指すことが適当であるとした上で、栄養バランスを勘案した望ましい食料消費の姿と主要品目の生産状況を踏まえた生産努力目標に即しつつ、平成二十二年度までの基本計画の計画期間内の実現可能性などを考慮して、目標値を四五%と設定されたところでございます。 なお、平成十七年三月に策定された新たな食料・農業・農村基本計画においては、野菜、果実や畜産物などの生産活動をより適切に反映する視点から、カロリーベースに加えて生産額ベースの食料自給率目標も併せて設定されたところでございます。 ○牧野たかお君 お手元に配らせていただいた資料が今のカロリーベースの食料自給率と、下が国民一人一日当たりの供給熱量の比率を表したものでありますけれども、私は何が言いたいかといいますと、まずこの食料自給率という今カロリーベースで示しているものというのは、要は私たちが食べているもの、食生活がどんどん変化していく中で、要はそれに追随した形で国内の農産物が何%使われているかという私はデータだと思っております。 それで、一つは、その下に書いてあるように、昭和六十二年度が栄養バランスでいくとちょうどバランスが取れているときでありますけれども、本来ですと、要は、日本人はこういうバランスの取れた中で食料の自給、賄っているのが何%かというのが本来の私は理想上の数値じゃないかと思います。 それで、要するに何が言いたいかといいますと、今の上の方に数字出ていますけれども、要は、食料自給率が昭和四十年当時からどんどん、七三%から今三九%になりましたけれども、こういうふうになったというのは、米の消費量が四五%減少したのに対して肉類がおよそ三倍で、油脂類が二・三倍に増えるというような食生活の変化があったからこれだけ食料自給率、このカロリーベースの計算上では下がっているというふうに言われております。 この今の現在の栄養バランスで見ますと、脂質の摂取が非常に過多によって生活習慣病が増えているというようなことも言われているわけです。ですので、本来正しくないというか、本来あるべき食生活の姿でない中での食料自給率というか、そこで何%賄っているかというのは、私はちょっと食料自給率という言葉で使うデータとすると、データというか指標の計算の仕方がちょっと私は違うんじゃないかなと思います。 具体的に言えば、例えば、栄養バランスで六割が理想とされる炭水化物を賄う、六割が理想とした場合、その場合の炭水化物を賄う国内産の穀物が何%で、たんぱく質では国内産が何%というような指標の方が本当は理想的な形ではないかなというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。 ○政府参考人(岡島正明君) 御指摘のとおり、栄養バランス、非常に重要なものだというふうに考えております。そうしたことから、目標を立てる上においては、先ほど副大臣からも御説明したとおり、正に望ましい食料消費の姿といったようなものを考えながら、これに対応したPFC熱量比を示して、脂質の摂取量の低減でありますとか、あるいは炭水化物の摂取量の増大、増加等を図ることといたしております。 また、こうしたこれらの品目について、その消費量の目標と整合性を取りながら国内での生産量等を示した生産努力目標を作成しております。このため、現在の食料自給率の目標には、消費面における栄養バランスの改善の観点が反映されているとともに、併せて、その中で国内生産で賄われるべき内容についても考慮しているものと考えております。 ○牧野たかお君 そもそも私、これは事前のちょっと打合せというか資料をもらうときに農水省の方と意見が全然合わないというか平行線なんですけれども、この今使われているカロリーベースの食料自給率というのは、私は名称としてはちょっと正しくないような気がします。言うならば、これはさっきも申し上げましたけれども、現在の食生活の中で私たちが消費しているカロリーの何%を国内のもので賄っているかということでありますので、自給率というよりもむしろ構成率じゃないかなというふうに思います。 それで、一般的によく言われるんですが、要は、三九%の食料自給率という言葉を使うと、日本は日本の国内で私たち日本人の人口を賄えるカロリーを自国で要は生産できる能力が三九%しかないというふうに勘違いを、私も実を言うと、恥ずかしいですが、つい最近までそういうふうに勘違いをしておりました。ちなみに、ここ数日、私の同僚の議員にも聞いてみましたが、そういうふうに勘違いしている人がかなりおります。 ですので、自国で要するに賄えるかどうかというのはこれは自給能力だと思いますけれども、よく私たちが食、食べ物、食料は国の安全保障の一つであるというふうに申し上げておりますけれども、そういう言葉に連動する数字というのは私は食料を自給する能力の比率ではないかと思います。自給力ですね。だから、それを何かごちゃごちゃに今使っているような気がして、私はちょっと誤解を与えているような気がいたしております。 ですので、ここでやっぱりこれから、もちろん国内の農業の振興を図って、そしてまた需要を向上させるために、私は、もちろん名称はカロリー自給率という名称をもうお付けになったから変えないというなら変えないで結構ですが、本当は私はこれは構成率だと思っていますけれども、それと併せて自国の自給能力、自給力を表せる数字を言わないと、私は、併用していかないと国民の皆さんに誤解を与えたままになってしまうんじゃないかなと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。 ○国務大臣(若林正俊君) 委員が御指摘になりましたように、いわゆる食料自給率というようなことですべてのことを判断をするということについてはいろいろ問題があると思います。これは、しかし、総合食料自給率と、こういうふうにとらえて、いろんな要素を加味しながら共通の指標としてどういうような指標を作ることが可能かということでこの食料、カロリーベースの自給率で表して一つの状況を理解してもらうために作っているものでありまして、考え方とすれば食料の供給力、更に言えば食料の物別の供給量といったようなことで考えていくというのもあると思いますが、それを全体として見ますと、例えばえさを輸入して国内で鶏を飼う、そして鶏を飼って卵を供給すると、卵に着目すればこれは全部自給力なんですけれども、しかし、えさが八〇%輸入であるとすれば、それは自給力として言えばそれだけ減らさなきゃいけないわけですね。そういう共通の物差しとしてカロリーというものを使って総合的に算定したというものでございます。 そこで、食料の供給力というものを確保していくということが国家の安全とかという角度から議論されるわけでありますけれども、そういう意味で食料の供給力はどうかといいますと、例えば農地がどういうふうに保全されているか、あるいは農業用水というのが的確に供給されているのかどうか、また農業を営む担い手というのは構成がどうなっているのか、これによって供給力が変わってきます。また、農業技術の水準がどう変化していくのか、そういうような非常に多様な要素というものを前提にした上で生産が行われ、そして生産物に対する需要が発生しているわけでございます。 そういう意味で、農林水産省としては、平成十四年に不測時の、いったん緩急あった場合、そういう不測時の食料の安全保障のマニュアルというものを策定したことがございます。不測時に食料供給の確保を図るためには、具体的な方策を定めてその普及啓発を図り、ある種の危機感ですね、どんな事態になればどうなるのかということを想定して作ったわけでございます。 それのマニュアルによりますと、レベル0からレベル1、レベル2と、こういうふうに定めていまして、例えばレベル1といいますと、特定の主要な品目の供給が平時の供給の二割以上下回ってしまうというようになった場合に、一体国内でその下回った分を補うにはどうしたらいいのかといったようなことを事項別に対策を整理をいたしております。一番厳しいレベル2というふうにしますと、一人一日当たりの熱供給量、これはやはりカロリーになって体を支えているわけですから、その熱供給量が二千カロリーを下回るというような事態、戦時中、戦後直後ですね、そういう事態を想定して、果たしてそういう事態に、日本の限られた農地と技術と、そしてこれを生産に結び付けていくということで賄えるのかどうかというような検証をしたわけでございます。 これによりますと、もう制度設計が、現在の農業政策の制度設計を思い切って変えていかないとそれに対応できないわけでございますが、非常に、例えばの話ですけれども、今の水田よりも芋を作った方がカロリー高いんですね。だから水田の半分は芋を作る、サツマイモを作るというようなことにしてようやくこの二千カロリーを維持することができると、こういうことなんですね。 だから、こういうような想定をしながら、もしもこういう異常な事態が起こったときに我々はどういうことができるかといえば、国民の皆さんには、そのときにはもうお米は半分以上減らして、あとはお芋を毎日食べてくださいというような事態になりますよといったようなことも併せて実は言っていかないと、本当の日本の食料自給力というものが今どうなのか、所要の農地面積が今の農地面積を前提にする限りそういうことになっていくと思うのでございます。 そんな中で、農業基本法の議論の中でいろいろな考え方があるけれども、やはりカロリーベースで自給率を算定して、そのカロリーを供給するためにどういう組合せで生産を高めていくかということを示した方がいいと、こういうことに議論がなったわけでございますので、そういうふうに供給可能量をカロリーベースで示すというのが共通の分かりやすい状況だと思っております。 ○牧野たかお君 済みません、初めて大臣に質問するんですけれども、ちょっと要領が分からなくて時間の配分がちょっとおかしくなってきましたけれども。 非常にちょっと、大先輩の大臣及び政府の皆さんに伺うのはちょっと失礼かもしれませんけれども、今の御答弁はそれで考え方として分かるんですが、私が申し上げているのは、現代の、要するに国内農業生産力が日本の人口の、じゃ何割を賄うことができるかというデータを作ったらどうかというお話をしておりまして、例えばカロリーベースの計算でも、要は赤ん坊からお年寄りまでの年代別に必要なカロリーを人口に掛けてみれば必要なカロリーって全部出て、それから割ることの日本国内で生産されている農産物、肉類も含めて、今大臣がおっしゃったみたいに、鶏卵の中にえさの部分があればそれを引いて、それを全部掛ければ私は今現在の国内で人口の何割を賄えるかというのは、私は計算上出ると思います。 それともう一つは、外国には今、日本で使っているこの品目別のカロリー自給率のようなこういう計算はどうもしていないというふうに伺っておりまして、要は生産量と国内の、それぞれの国の、イギリスにしてもフランスにしても、そこの人口を賄うことができるかどうかで一〇〇%、一一〇%とか八〇%と、多分そういう計算をしているんじゃないかと思います。 要するに、ほかの国がやり方も違うのに対比で、日本はこうだけれども外国はこうで日本は遅れているという、それはそれでそうなんでしょうけれども、対比する本当はデータが違っているというか指標が違っているように私は思うものですから、要はそういうものを併用してお作りになった方が、国民の皆さんにこれだけの、米をこれだけ生産できる能力はありますよと、だけれども食べないから今のカロリーベースの自給率、私は構成率だと思っていますけれども、ではこんなに低いと、これだけ差があるんだよということを示した方が、私は国民の皆さんにもっともっと日本の国内の農産物を食べてもらえる方法としてその方がいいんじゃないかなというふうに思って質問をさせていただいております。 これは、後の質問がございますので、私の意見として申し上げておきます。 それで、お米の需要の拡大は先ほど亀井議員がおっしゃいましたので飛ばします。 それで、米のことについて、ちょっと併せて、やっぱり米に一番合うのは何かといえば、飲物は何かといえば、私はお茶、緑茶だと思っております。ですので、緑茶をこれから需要を伸ばしていかなきゃいけないというふうに思っておりますけれども、学校給食の、要するに米飯給食のやつを私も実は文部科学省にお願いをしてデータもらったんですが、それじゃお茶を出している比率はどうかと聞いたら、そういうデータはありませんというふうに冷たく返答が返ってまいりました。ですので、全然気にも留めていないんだなというふうに私は受け止めたわけでありますけれども、お茶でもこの緑茶の生産量は全国の農業生産額でいえば千五百億円規模であります。サツマイモを上回って、バレイショ、乳牛の次に位置する農業産出額を誇っております。ですので、お茶をこれから日本伝統の飲物として更に普及させていくためにはどのようにお考えになるか、どのように取り組むお考えがあるのか、伺わさせていただきます。 ○国務大臣(若林正俊君) お茶の飲用を拡大するのにどのようなことをしているのかという、そこからお答えをしたいと思いますけれども、やはり伝統的に日本の緑茶というのは日本の生活に深く染み込んでおりまして、そういうことを身に付けていると。しかし、だんだんと他の飲料にシフトしていっているという傾向があることは否めない事実でございます。そういう需要、嗜好に合わせて供給も行われるということになると思います。 その意味では、やっぱり消費拡大のためのいろいろな試みをしていく必要があると思いますが、お茶の全国団体などと協力をしながら、例えば全国お茶まつりといったような消費拡大のイベントを催したり、あるいはお茶のおいしい入れ方といったようなことを子供たちに教えるための教室を開催するといったようなことをしておりまして、今、日本茶のインストラクター制度も団体側が制度を設計して進めたいというふうに考えていると承知いたしておりますが、これらの関係団体や地方自治体とも連携協力しながら、農林省としてもお茶の需要拡大には更に一層努めてまいりたいと、このように考えております。 ○牧野たかお君 ありがとうございます。 お茶はカロリーが少ないから健康食品になっているんですが、要するに、さっきのカロリー自給率の中では、要するにカロリーがないものですから、要は入っておりません。そういうことで、余りカロリーベース、カロリーベースとやっていくと重要な農産物がともすれば忘れられてしまうおそれがありますので、よくこれからも振興に図っていきたいと思います。 これはちょっと質問じゃなくて、時間がないものですから早口で申し上げますが、委員としての提案でございますが、この農林水産委員会、おいしい牛乳は用意していただいておりますけれども、お茶はやっぱり日本の農業の中の最重要な飲物でありますんで、鹿児島の加治屋先生、そして野村先生もいらっしゃいますけれども、静岡県産一〇〇%とは言いませんので、静岡と鹿児島で折半で結構ですので、是非委員長と理事の皆さんで御相談をしていただいて、これからお茶をこの農林水産委員会で出していただけるようにしていただけると有り難いと思いますんで、御一考をお願いをしたいと思います。 時間がなくなりましたので、あと林政問題に行きますが、福田首相の二百年構想住宅についてはまたこの次の機会に質問させていただき、森林の整備のことについて伺いますけれども、森林におけるCO2の削減等の多面的機能というのはよく取り上げられております。先ほどもちょっとお話がありました。 しかし、森林がその多面的機能を発揮するためには、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、適切な間伐とか枝打ちが必要であります。これは今まで国から、都道府県と市町村が援助をして、補助をして、森林所有者が森林組合なんかを通じて森林の整備、間伐、枝打ちをしてきたわけでありますけれども、現況ですと補助率は大体アッパーで七〇%ぐらいだと思います。今、実は私も山林所有者なんですけれども、大体、間伐等の個人負担というのが、七〇%補助とすると一ヘクタール当たり三十万円ぐらい掛かります。 ところが、今、材価の低迷がずっと続いていて、今五十年のヒノキでさえ切ってもなかなか収入にならないような状況です。ですので、一ヘクタール三十万の負担を払って森林の整備のための間伐、枝打ちをするという方が本当に極端に減りまして、今、人工林、個人所有の山というのはどんどん荒廃をしていく一方であります。 そういう中で、私は、さっき申し上げた多面的機能ということ等考えますと、私は、これは個人の負担だけを、もうやっていけない状況の中で、新たな補助制度というのをいろいろ考えていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。 あとの質問、ちょっと併用になっちゃいますけれども、時間がないので。 一つは、花粉症が先ほどもありましたけれども、その話がありましたけれども、花粉症というのは今もう十人に一人が花粉症になっております。実は私も五年ぐらい前になったんですが、山の中に住んでいても花粉症になってしまう、今そういうことが各地で起きております。花粉症というのは森林が持っている多面的機能の反対側で考える、対極であるマイナスの要素だと思っておりますけれども、これもやはり花粉症を減らしていくという意味は私は公益性があると思います。 今、農林水産省の方では、花粉症対策として花粉が少ない杉の苗を植え替えることを奨励したり、また、すべて杉林を伐採をして広葉樹に変えていくと協力金を交付するというような、そういうこともやっておりますけれども、今の現状ですととても花粉症を減らすような当面の打開策には私はなっていないと思います。 やっぱりこれは、間伐をする、枝打ちをするというのを、先ほどのお話にもありましたけれども、とにかくそれを当面もう広げて広げてやっていくしかないと思うんですが、さっきも申し上げたように、個人負担ができない山主がこれだけ増えていますと、私はそれも難しいと思います。ですので、一つの考えとして、今の補助制度に花粉症対策を、間伐をすれば花粉症対策になるということで、今の補助制度に花粉症の対策の協力金として上乗せをするような、そういうお考えはないでしょうか。 ○政府参考人(辻健治君) 森林の有する公益的機能等の発揮に向けまして間伐等の森林整備を進めるというのは重要と考えているところでございまして、現在、我が国の森林資源が充実をしてきていると。 こういった中で、合板等の原料に一定の価格で大量に使用され始めてきているといったような状況でございまして、この一定の価格の下で、そして現行の補助制度を活用した場合に採算が合うような方式でやっていくということで、一つは、簡易で壊れにくい、なおかつ低コストの作業路を入れていこうと。それから、その作業路を使って高性能林業機械を導入することによって生産性を上げる、いわゆる生産コストを下げるといったことで、森林所有者の負担がほとんどない、森林所有者の負担にならないような、そういう取組を現在いたしているところでございます。先生御指摘のヘクタール三十万というのは、恐らくこれ、事業費だと思います。森林所有者の負担ではなくて、恐らく間伐をやる場合の事業費だと思いますので、これの三割ということになりますと十万程度だろうと思ってございます。 それからもう一つは、公益的機能の高度発揮が期待されている保安林につきましては、これは治山事業ということで、国が二分の一、都道府県が二分の一、いわゆる森林所有者の負担のないような形で森林整備を進めているところでございまして、こういった取組をすることによりまして森林整備を推進してまいりたいというふうに思ってございますし、花粉症対策につきましては、花粉の少ない杉の苗木の供給、花粉の少ないというのは通常の花粉の百分の一、いわゆる一%でございまして、こういった苗木の供給を大量に増やせるような、そういう取組をしているわけでございますし、もう一つは、先生のお話のように、雄花の多い杉の人工林で間伐をやっていきたいというふうに思っておるわけでございまして、先ほどの生産性を上げるような取組と、それから財源的、予算的には、地球温暖化防止森林吸収源対策の予算を使いながら花粉症対策も併せてやってまいりたいなというふうに思っておるところでございます。 ○牧野たかお君 済みません、時間がなくなりましたので、意見だけ言って終わります。 長官、今事業費とおっしゃいましたけれども、私も実は何回もやっておりますが、現実的にそのぐらいの負担は個人に、市町村の補助がない場合は掛かります。それと、結局何が言いたいかというと、個人負担がとにかくみんなできない状態ですので、幾らいろいろ、作業道を入れようとか何かを入れようと、そういう話をしても、要は個人負担が払えない、そう思ってもうやらない方がほとんどなんですよね。とにかく、森林整備を進めるのにどうしたらいいかというと、個人負担をなくすしかないと思うんです。ただし、森林、人工林というのは個人の資産ですので、公費を使って個人の資産の価値を高める、これが果たしていいものかどうかというのは、これは議論があるかと思います。 ですので、当面というか今現在の森林整備の負担はすべて公費で賄うと、その代わり、将来、森林の所有者が売却したときに精算をするようなそういうシステムを考えないと、私は、森林整備というのは恐らく、幾らいろんなことをおっしゃっても現実的にはなかなか進まないというふうに思っておりますので、また御一考していただきたいと思います。 私の質問を終わらせていただきます |
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