第169回国会 参議院第12回予算委員会 |
||||
●予算委員会 (2008年3月21日) 抜粋 |
||||
道路特定財源の維持について | ||||
(牧野委員)道路特定財源の暫定税率の維持については全国の都道府県知事、市町村の首長が賛成である。地方自治体にとって暫定税率の廃止が死活問題だということを示しているが認識はどうか。 (平井国土交通副大臣)財源特例法改正法案を始めとする関係法案が一体として年度内に成立するよう最大限努力する。 (牧野委員)市町村が財政難であえいでいる中、実態が考えられていないと感じられるがいかがか。 (平井国土交通副大臣)市町村においては、特定財源だけではなく一般財源も投入して道路整備をしている。暫定税率廃止は重大な影響が出ると考えられる。 (牧野委員)市町村の道路事業では、一般財源や地方債に頼っているのが現状である。暫定税率の廃止で予算のやりくりが困難になる。この切羽詰った地方の上京を国民の皆さんに訴えるべき。 (平井国土交通副大臣)仮に暫定税率が廃止された場合には大幅な減収が生じる。各地方自治体の行財政に大きな支障をきたす。道路特定財源や暫定税率を維持する必要性について国民の皆様方に引き続き理解を得られるよう努力する。 (牧野委員)最優先に考えなければならないのは国民生活を混乱させないこと。仮に暫定税率の延長が決まらなければ地方の財政運営に大きな影響がでる。 (増田総務大臣)改めて補正予算を編成するのかどうか、その際にどの分野を削減するのかなど厳しい判断が迫られることになると考えられる。 |
||||
三位一体の改革について | ||||
(牧野委員)地方財政の困窮状況の原因は三位一体の改革の中途半端に放置されているからではないか。地方の義務的経費は増え、政策的経費が減り裁量権がなくなっている現状をどう見るか。 (増田総務大臣)政策的経費というものは重要である。地方再生対策費を4000億円創設した。地方の不安や閉塞感の打開につなげたいと考えている。 (牧野委員)今の地方財政は財源がなければ、資産を売るか基金を取り崩すか起債をするかである。資産の売却状況はどうなっているか。 (増田総務大臣)財産の売り払いによって一定の収入を確保している実態はある。地方財政対策等私どもの役割は大きい。また、各自治体に一定の資産評価も行った上で対応していただきたいと考えている。 (牧野委員)財源捻出のため起債が多くなっている。地方の起債の残高が平成二十年度末で197兆円になると言われている。一般会計上は処理が出来ていても事実上破綻状態になっていないか。 (増田総務大臣)地方の財政運営全体については、地方公共団体財政健全化法が施行されたので、将来にむけて負担を削減することを念頭に置いた財政運営が期待されると考えている。 (牧野委員)今の地方財政の厳しさというものをどのように感じているか。 (額賀財務大臣)地方も厳しいが国も厳しいのが事実である。地方においては個別に大変厳しいところもある。交付税増加や地方再生対策費など対応している。 (牧野委員)財政の面だけで見れば国よりも地方のほうが硬直しているのではないか。法人事業税の一部譲与税化により地方分権の理念に反しているという意見もある。暫定措置としてやむをえないかもしれないが、大事なことは偏在性の小さな地方税の体系を早く構築することである。 (額賀財務大臣)暫定的な措置で乗り切るのではなく、抜本的な税制改正を行うことで地方財源の安定した形を作っていくことが望ましい。 (増田総務大臣)地方分権時代にある税体系であるが、地方税財源の充実を図る中で地方消費税の充実を一番に掲げて対応したい。地方消費税、地方法人税のあり方について見直しをしていきたい。 |
||||
地方財政について | ||||
(牧野委員)厳しい地方自治体の財政状況の建て直しの展望について伺いたい。 (増田総務大臣)地方再生対策費等の措置を来年度講ずる予定であるが、それでも足りない。各団体の努力が求められるとともに、地方税収の安定確保、充実強化という改革の方向はきちんと進めていきたい。 (牧野委員)社会保障の経費の増加による財政の行き詰まりが国と地方の両方でおこる。税財政の抜本的な見直しが迫られているのではないかと思う。 (額賀財務大臣)財政再建と経済成長の両面を達成しなければならない。膨張する社会保障費に対しても消費税を含めた全体の抜本的な改革を早急に実現しなければならない。 |
||||
質疑(全文) | ||||
○牧野たかお君 自由民主党の牧野たかおでございます。私は、長谷川委員の質問に関連して、地方財政について質問をさせていただきます。 まずは、長谷川委員が最後に質問されました道路のことについての、道路特定財源の問題から入ります。 この道路特定財源の暫定税率の維持については、全国四十七の都道府県知事、そして千八百余りの市町村の首長さんや議会の大多数が賛成をしております。賛成どころか、むしろ何が何でも維持をしてほしいと、困ると、維持をしてくれなければ困ると訴えております。もし暫定税率が認められないことになれば、地方自治体は一般財源の中から今以上に道路予算を出さなければならなくなり、その分、教育、福祉の予算を削らなければならないと言われております。新聞のアンケートなどによれば、このことから全国四十七都道府県の県知事、その全員が暫定税率の維持に賛成されております。この四十七人の中には、民主党の国会議員の出身者が四人もいらっしゃいます。 これは、地方自治体にとって暫定税率の廃止が死活問題だということを示していると思いますけれども、まずこのことについて平井国土交通副大臣の御認識を伺います。 ○副大臣(平井たくや君) 仮に暫定税率が廃止された場合には、国、地方合わせて約二・六兆円、地方だけで約九千億円の大幅な減収となり、これによって渋滞対策、生活幹線道路の整備など、地域や国民生活に欠かせない対策を進めていくことが極めて困難になると考えています。 このように道路特定財源は、地方にとって、地域住民が望む道路整備を着実に進める上でも、また財政全体から見ても大変貴重な財源であります。地方自治体の知事、市町村長からの財源の確保や暫定税率の維持を求める切実な声は、まさに地方行政に責任のあるお立場からの強い危機感の表れであると認識しております。 国土交通省としては、地方からの切実な声をしっかりと受け止め、必要な対策を着実に進め、地方の行財政に無用の混乱を生じさせないために暫定税率を維持していくことが必要と考えております。 引き続き、地方からの切実な声にこたえ、道路特定財源や暫定税率の維持について国民の皆様から十分御理解をいただき、財源特例法改正法案を始めとする関係法案が一体として年度内に成立するよう、最大限努めてまいります。 ○牧野たかお君 その道路特定財源に関して、民主党さんが暫定税率廃止の法案を提出されました。この中では、軽油引取税を始めとする地方税の暫定税率の廃止もうたわれております。そして、その一方で、道路に限らず国の直轄事業、これはすべての省庁ですけれども、その地方の負担金の廃止と地方道路整備交付金の現状維持を打ち出しております。 この法案の財源の確保には無理があるといいますか、現実的ではないという気がしますけれども、ひとまずそれをおいておくとして、平成十七年度の決算を基に計算をしてみます。 都道府県と千八百余りの市町村のトータルですと暫定税率の廃止分のマイナスはおよそ九千百億円で、すべての省庁の直轄事業の負担金を計算しますと一兆二千六百億円ということで相殺をされます。そのように見えますけれども、しかし、直轄事業の負担金は、これまで増田総務大臣が何遍も答弁されているように、ほとんどが都道府県と政令指定都市が負担しているものです。ですので、全国十七の政令指定都市を除いた千八百余りの市町村だけで計算してみますと、暫定税率の廃止分の減収がおよそ二千九百億円、一方、直轄事業の負担金はどれぐらいあるかというと四百八十億円、ですから、差引きしますと二千四百二十億円の減収、そして率にしてみますと八三%のマイナスになります。 市町村が財政難であえいでいる現状の中で、その地方の実態を私は全然考えていない、そういうふうに受け止めておりますけれども、この点について、平井国土交通副大臣にお伺いします。 ○副大臣(平井たくや君) 民主党案では、委員御指摘のとおり、都道府県、政令指定都市約六千億円、市町村約三千億円の合わせて約九千億円の税収減については、地方公共団体が負担している約一兆円に上る直轄負担金を廃止することにより補うとされております。 しかしながら、議員の御指摘のとおり、直轄負担金は基本的に都道府県及び政令指定都市が負担しているため、暫定税率廃止に伴う市町村分の税収減約三千億円を補うことはできません。市町村においては、特定財源だけでなく一般財源も投入して道路を進めており、暫定税率が廃止されれば、必要な道路整備が進められないだけでなく、財政が逼迫するため、地方経済や住民生活に重大な影響を与えるものと考えられますが、このような混乱を与えないよう必要な措置を講ずることが必要だと考えております。 ○牧野たかお君 今の御答弁にありましたけれども、本当に各市町村というのは今であっても厳しい現状にあえいでおります。道路事業で見ますと、過去の道路整備に係る地方債の償還金の支出を含め、道路特定財源だけでは足りず、多くの一般財源や地方債に頼っているのが現状です。 例えば、平成十八年度の市町村における道路関係費を見れば、道路特定財源の収入がおよそ一兆円であるのに対して、公債費がおよそ一兆三千億円、そして維持補修に係る経費が八千億円というように、道路特定財源だけでは賄えない状況です。したがって、とりわけ削減が困難な維持補修費、また地方債の償還金の負担が大きい市町村にとっては、暫定税率の廃止によっては予算のやりくりが極めて困難な状況になると思います。 このせっぱ詰まった地方の状況を更に国民の皆さんに私は訴えるべきだと思いますけれども、再度、平井国土交通副大臣に御所見を伺います。 ○副大臣(平井たくや君) 仮に暫定税率が廃止された場合には大幅な減収が生じるため、渋滞対策、生活幹線道路の整備などの対策を進めていくことは極めて困難になります。具体的な市町村への影響としては、例えば静岡市、先生の地元でありますが、道路の維持管理費や借入金の返済によって道路新設に関する事業費が大幅減となる結果、渋滞の解消、災害への備えなどの課題解消が先送りとなり、新規事業着手が困難となるといった影響があると聞いております。 さらには、地方自治体によっては維持管理費が賄えなくなったり、過去の借入金の返済すらできなくなるところもあり、このため福祉予算などを含めた全体予算に大きな打撃を与えるとも懸念されているところであります。 このような影響の度合いは各地方自治体の財政状況によるものと考えておりますが、いずれにしても道路整備の進捗や各地方自治体の行財政に大きな支障が出るものと認識しております。その意味で、道路特定財源や暫定税率を維持する必要性について国民の皆様方に引き続き理解をしていただくように最大限努めてまいります。 ○牧野たかお君 道路特定財源の問題については、今まで民主党の方々が御指摘したとおり、野球のバットから始まってミュージカルだとかマッサージチェアとかタクシーチケットやテニスコートと、本当に疑問に感じる使い道がよくこれほど出てきたなというふうに思います。 ただ、今後チェック体制を強化して特別会計の在り方も再考しなければならないと思いますけれども、しかし、今私たちがまず考えなければいけないのは、最優先に考えなければいけないのは、国民生活を混乱させないことだと思います。今日までに全国の地方自治体の議会では暫定税率を財源として組み込んだ新年度の予算を次々と可決しております。もし仮に暫定税率の延長が決まらなければ地方の財政運営に本当に大きな影響が出ると私は思いますが、増田総務大臣の御見解をこの点について伺います。 ○国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げますが、この特定財源、道路特定財源の暫定税率分の廃止の関係でございますけれども、要は、これはその当該団体にとりまして、暫定税率分に相当する税収が入らないというだけではなくて、自己資金が足りなくなるということを通じて、補助事業の裏負担の部分ができませんので補助事業自体の実施ができなくなると。そうしますと、それに合わせて、事業ができないということは当然起債を充てているお金も、起債も立てられないということでございますから大変大きな歳入不足に陥ってしまうということになるわけで、先般も当委員会で末松委員が、山口県の例だったと思いますが、それで図示して御説明がございましたが、まさに削減困難な維持補修費や公債費の負担が大きい団体にとっては、そういうことになりますと他の分野の予算を削減するなどやりくりをそういうふうにしていかなければならない、そういう事態になってしまうんだろうということでございます。そういう声が私のところにももう既に幾つか寄せられているところでございます。 そこで、今仮にということで、こうした暫定税率の延長が決まらない場合にどういうふうになるのかというお話でございましたんですが、これは各団体ともそういった歳入不足が生ずるわけでございますので、当然歳出予算の見直しを余儀なくされる事態が生ずるということと同時に、しかし待ったなしの借金返済等はこれはもう必ず手当てをしなければならないわけでありますので、道路以外の分野も含めた歳出予算全体の見直しにそのことはつながっていくということであります。 したがいまして、それをどういうふうに行っていくかはあくまでも各団体の判断によると思いますけれども、各団体の方ではもう既に議会の審議をほとんど終えているところが多いと思いますから、改めてまた補正予算を編成するのかどうかと、そしてその際には他のどの分野を削減するのかという大変厳しい判断が迫られるということでございまして、改めてでございますけれども、是非こうしたことについて私どもも国民の皆様方に理解を求めていきたいというふうに思いますが、なお立法府におかれましても、この点について十分御理解をいただきまして、是非暫定税率の延長に御理解いただければと、このように考えております。 ○牧野たかお君 今度は、道路特定財源のことから、今いろんな方から出ている三位一体の改革の話をします。 地方財政の現状認識という点でございますけれども、今のお話にありましたように、本当に地方の財政というのは困窮状態にあります。なぜこのようになったかというと、いろいろ分析はあるでしょうけれども、私はさかのぼって考えるに、やはり平成十六年度から始まった三位一体の改革が中途半端なまま放置状態に置かれているからではないかと考えます。 三位一体改革とは、地方交付税と補助金を減らす代わりに地方への税源移譲を増やすというものでございました。しかし、この税源移譲というのは、これは実行されたものは義務教育国庫負担金とか児童手当の国庫負担金という国庫分を都道府県に移譲したものがほとんどで、地方が自らの裁量で事業額を決めることができない義務的経費に充てられております。この義務的経費が、介護保険や老人医療を始めとする社会保障関係費がどんどん増加したことによって毎年、その義務的経費は全体では毎年どんどん大きく膨れております。全体の一般財源の総額がほぼ横ばいで、そして税源移譲された義務的経費がどんどん増えていく、この結果どうなるかといいますと、地方自治体は自らの裁量で使える政策的経費が減少していきます。 パネルを用意してお手元に資料を配付しましたけれども、(資料提示)全国知事会の調査ですと、この政策的経費の推移はこの表のとおりであります。四十七都道府県全体では、平成十九年度と平成十五年度を比較した場合、七二・五%、不交付団体である東京都と愛知県を除いた交付団体の四十五府県では五三・九%、そして財政力指数が〇・三から〇・四の県では四二・七%までこの政策的経費が落ち込んでおります。事実上、その県の裁量権はなくなってきていると言っても過言ではないと思います。 まず、この現状について増田総務大臣の御認識を伺います。 ○国務大臣(増田寛也君) 今先生の方からこの図表を示していただきましたけれども、これはまさに私が知事をしておりましたときの実感にも合うような状況でございまして、特に、全体では七二・五%ということでございますが、やはり問題のあるところは、特に財政力指数が〇・三から〇・四という県、ここにおいてはもう四二・七%ということで六割近くが減ってしまっていると、ここが非常に今の厳しい財政の実態を表しているんではないかというふうに思うわけでございます。 〔理事林芳正君退席、委員長着席〕 地域にはいろんな資源があるわけですけれども、そうしたものを自主的、主体的に活性化策に結び付けていくというためにもこういう政策的経費というのは非常に重要なわけでありますので、今回地方再生対策費四千億を創設したという理由も実はそこにあるわけでございまして、こうした四千億というお金を自主的なそういう活性化策に充てるためのものとして是非使っていただきたいと、こういう思いでございます。 今回の措置でございますが、私としてはこれはやはり第一歩という受け止め方をしているものでございまして、そうしたことを通じて、今お話ございました地方の不安とか閉塞感の打破に是非つなげていきたいと、このように考えております。 ○牧野たかお君 今おっしゃったとおりでございますけれども、本当に地方自治体というのは、今年をどうやって乗り切るかと、そういうような私は状況だと思います。 地方自治体の財政の言わば今まで表側の話をしてきましたけれども、その裏でいいますと、財源がなければどうするかといえば、資産を売るか基金を取り崩すか起債を含めて借金をするかと、そのいずれに頼るしかないと思います。 これらのやりくりのうち、資産の売却についてはもう本当に売るものがだんだんなくなってきているんじゃないかというような気がします。実情はどうなっているのか、増田総務大臣に伺います。 ○国務大臣(増田寛也君) 今お尋ねの公共団体の財産の売払い収入の状況でございますけれども、私もこの点について御指摘いただきましたので調べてみますと、この平成九年度から十八年度までの十年間で見ると、必ずしも一定の減少傾向にあるわけではなくて、やはり当該団体の状況によって年度ごとに変動しながら推移をしていると、こういう状況ではございます。 しかし、多くの団体がやはり今この厳しい状況の中で財産の売払いによって一定の収入を確保していると、こういう実態がございまして、そういう中で売り払える財産というものもやっぱり一定の限度があるわけでございますし、それから基金というものも取り崩しているところが多いということから考えますと、今後もこうした未利用地の財産の売却促進ということは是非必要であると思いますし、翻って、やはり先ほど申し上げましたような地方財政対策というものをしっかりと講ずるということの両面をきちんと考えていかなきゃならない。その意味でも私どもの役割は大きいというふうに思っています。 資産の売却等の関係で申し上げますと、資産、債務の適正な管理を進めるという観点が必要でございますので、そのために今バランスシート、公会計の改革をしてバランスシート等を整備するように要請をしているところでございますので、そうしたことを踏まえた上で各自治体に一定の資産評価も行った上でこの問題に適正に対応していただきたいと、このように考えております。 ○牧野たかお君 今その資産の売っている状況、残っているかどうかという話でしたけれども、実際は、私はかなり本当に県有資産とか市町村が持っている資産というのはどんどんなくなっていると思います。なくなっていない部分は、要は売れない、あんまり、不良な要するに資産ではないかなという気がいたしております。 それでも自治体というのは、とにかくどういう方法によっても財源を即とにかく捻出をしなければなりませんから、起債等の借金をせざるを得なくなります。この地方の起債の残高が平成二十年度末で積もり積もって百九十七兆円になると言われております。こうした状況の中で、都道府県レベルでさえ過去の地方債の償還金、つまり公債費でありますけれども、これを捻出するために償還金の積立てを取り崩したり、それでも足りなければ借金を返すために新しい借金をしているところも出ているというふうに聞いております。そこまでになりますと、一般会計上つじつまは合っておりますけれども、事実上破綻状態に近いのではないかという気がいたします。 そうした状況が本当に起きているのかどうか、増田大臣に伺いたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君) ただいま委員御指摘のように、二十年度末に借入金残高百九十七兆となるわけでございまして、一部の地方団体では大変厳しい状況の下で地方債の満期一括償還時におけるこの減債基金の充当割合が低くて借換えの割合が実際に高くなっていると、こういうふうに承知をしております。 しかし、そういう場合には借換債を発行して対応していくわけでございますが、これはやはり全体として見れば、そのときは負担が軽減されますけれども、全体、当該団体として見れば将来に負担を先送りをすると、こういうことになるわけでございますので、もちろん財政運営上は慎重な判断が必要とされるということでございます。できればやっぱり計画どおり返していくのが本来の筋でございますので。 それと、またこうした減債基金から借入れを行っているという場合には、やはり必要な基金残高ということを確保しておかないといけないわけでございまして、そのためには将来の財政運営全体を見通した財政運営の在り方というものを十分踏まえた上でこうしたことを対応していかなければならないというふうに思っております。 今年の四月、もう来月からですけれども、地方団体の財政運営全体については、例の地方公共団体財政健全化法、これが施行されまして、財政指標の一つである将来負担比率というものに今言ったようなものが全部反映されるということになっておりますので、この将来に向けた全体像の中でどういう財政運営にしていくのか。 いずれにしても、住民の皆さん方にもそうした健全化法によって内容は明らかになっていくわけですから、より厳しく、住民の皆さん方、特によく議会との真剣な議論を経た上で、こうした将来に向けての負担を削減するという点を念頭に置いた財政運営が求められると、このように考えているところでございます。 ○牧野たかお君 もっと本当は時間があれば額賀大臣に細かいことを聞こうと思っていたんですが、今まで、地方財政の厳しさを今やり取りの中で総務大臣とさせていただきました。財政全体を預かる額賀大臣として、その今の地方財政の厳しさというのをどういうふうに感じていらっしゃいますでしょうか。 ○国務大臣(額賀福志郎君) 今、牧野委員の話を聞いていまして、またその前の長谷川委員の話から、また私も地方の議員もしていたことがありますので、実感として厳しさはよく承知しているつもりなんでありますけれども、地方も厳しいけれども国も厳しいこともまた事実なんでございます。 例えば、国と地方でどういう状況になっているかというと、これは委員も御承知のとおりでありますが、プライマリーバランスの点からいえば、二十年度で国が五・二兆円の赤字であります。地方は五・六兆円の黒字であります。債務残高の税収に対する比率は、国が十五・四倍であるのに対し地方は三・五倍となっております。債務残高については、先ほど来話がありますように、地方は百九十七兆円で二兆円減少していますが、国は六百十五兆円で八兆円増加をしているわけであります。 そうはいっても、やっぱり地方においては個別に大変厳しい財政事情にあるということを承知をしておりますし、地方の活性化を図る、地方の財政力の格差を補っていくために交付税も二千億円増加させていただいたし、あるいはまた、先ほど来お話があるように、地方再生対策費として四千億円を計上させていただいて、地域が自らの創意工夫で地域の活性化に取り組んでくれる環境を今つくりつつあるわけでございます。 私どもは、引き続いて地方の一般財源を確保することと、それから財政力の格差を是正していくことに全力を注いでいきたいというふうに思います。 ○牧野たかお君 地方よりも国の方が厳しいというお話でしたけれども、地方には、地方というか自治体の場合は、制度上、国と違っていろんな制約がございまして、額は、パーセンテージというか倍率は低いかもしれませんが、財政の面だけで見るとやっぱり硬直を国以上にしているんじゃないかなと私は思っております。 それで、いろんな認識をしていただきましたけれども、これからのことをちょっといろいろ考えなきゃいけない。もう時間がなくなってきましたので今後のことについて伺いますけれども、平成二十年度の税制改正では、法人事業税の税率引下げと地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の創設が予定されております。この税制改正は本来地方に入る税収を国税化するので地方分権の理念に反しておかしいという意見もあります。私も基本的には同じ意見でありますけれども、今回の改正は、言わばもう疲弊した地方をとにかく一刻も早く救おうというための暫定措置であって、やむを得ないというふうに私は受け止めております。 大事なことは、偏在性の小さな地方税の体系を早く構築することだと思います。具体的に言えば、地方消費税を充実させることが、それが一番の近道だと思います。この点について、額賀財務大臣のお考えを伺います。 ○国務大臣(額賀福志郎君) これは、牧野委員がおっしゃるとおり、財政力格差を是正するために、今度、特別地方法人事業税というものをつくらせていただいたわけでございますけれども、これはおっしゃるように暫定的な色彩が強いわけでございまして、今後、社会保障の安定した財源、あるいはまた地方の財政力の格差を是正していくこと等々の問題を意識して視野に入れて、抜本的な税制改正を行うことによって地方の消費税の充実を含めてこの地方財源の安定した形をつくっていくことが望ましいというふうに思っております。 ○牧野たかお君 同じことを増田総務大臣にも伺います。 ○国務大臣(増田寛也君) ただいまお話ございました地方税体系の関係でございますが、やはり私どもは、こうした分権時代にありましては、その基盤となる税体系でございますが、これは地方税財源を充実を図る中で地方消費税の充実を図ると、これを一番に掲げて対応していかなければならない。 それから、地方法人課税というのは景気によって大分左右されると。地方の行政サービスというのはそういった景気によってそのサービスの内容が変わることがあってはならないものでございますので、そういう意味からもこの法人課税の在り方というのは抜本的に見直す必要があるだろうと、そして安定的な地方税収体系というのを構築していく必要があると、このように考えているわけでございます。 この基本方向に沿って来年度の税制改正の要綱も閣議決定をされているわけでございまして、そこでは、消費税を含む税体系の抜本的改革時に地方消費税の充実と地方法人課税の在り方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むと、このようになっているところでありますので、私どももこうしたこの閣議決定、要綱の方向に沿って今後真摯に検討していきたいというふうに思っているところでございます。 ○牧野たかお君 これまで厳しい地方自治体の財政状況を、厳しいというかせっぱ詰まった状況を指摘させていただきましたけれども、最後に地方財政の立て直しの展望について伺います。 私、地方再生というのは、結局は地域地域に住んでいらっしゃる国民の皆さんが生き生きとして安心して暮らせることだというのが私は地方の再生だと思います。このことを実現するためには、住民と向かい合って行政サービスを担っている地方自治体に活力を取り戻さなければならないと考えます。そのために、現在の厳しいこの地方財政の状況をどのように立て直していくお考えなのか、増田総務大臣に御所見を伺います。 ○国務大臣(増田寛也君) 今地方が大変大きな問題を抱えているということであるわけですが、特に地方再生対策費等の措置を来年度講ずることとしてございますが、それでもなお大幅な財源不足、二十年度も五兆を超える財源不足が今見込まれていると、こういう状況にございます。したがいまして、当然、各団体に更なる健全化努力を行っていくという必要があるわけでございますが、先ほど申し上げました地方税収の安定確保、そして充実強化というその改革の方向はきちんと進めていかなければならないというふうに思っておりますし、それから国全体として、ましてや地方において安定した成長を実現するように様々な地方の成長に基づくアイデアを実現していくと。これは私が地方再生担当大臣も仰せつかっておりますので、そちらの方の地方再生戦略などをしっかりと実行していくということがその一つだと思っておりますが、そういう安定成長ということを実現していくということ。 そして何よりも、やはり今後の大きな分権の方向をこの際明確化をしていくと。今、地方分権改革推進委員会で真摯に議論をしていただいておりますが、そうした議論を進めて地方分権を徹底して進めていくと。その中では、財政面での地方の自主性、自立性を高めていくということも当然含まれるわけですけれども、今申し上げましたような改革の方向なり改革というのは進めていって、本当に将来に向けて地域が活力を取り戻せるように全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えております。 ○牧野たかお君 最後に質問させていただきますけれども、今後、国、地方を通じて社会保障の経費が増加していき国も地方自治体も財政的に行き詰まることはだれの目にも明らかだと思います。そして、その両者のうちにどちらが先に行き詰まるかと言えば、先ほど申し上げましたけれども、制度的に制約の多い地方自治体であると私は思っております。国、地方を通じた税財政の抜本的な見直しを行わなければならない時期が来ていると思いますけれども、額賀財務大臣のお考えを最後に伺って、私の質問を終わらせていただきます。 ○国務大臣(額賀福志郎君) 牧野委員のおっしゃるとおり、今我が国は財政再建と経済成長というものを両面きちっと達成していかなければならない、これは国際的な信頼にかかわることであるからきちっとしていく必要があると思っております。 社会保障については、二十一年度に年金の国庫負担を二分の一に上げるということも法律で決まっております。その上で、膨脹する社会保障費をやっぱりどういうふうに手当てをしていくか、消費税を含めた全体の抜本的な改革を早急に実現しなければならない。そのために社会保障国民会議というのを内閣に設けて今議論をしていただいているところでございますから、立法府においても、やっぱりこれは国民に対する責任を果たすために与野党の間で是非議論を深めていっていただきたいというふうに思っております。 ○牧野たかお君 終わります。 |
||||
戻る |
牧野たかお事務所 |
〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館415号室 TEL03-3508-8415 FAX.03-5512-2415 〒422-8056 静岡市駿河区津島町11-25 山形ビル1F TEL.054-285-9777 FAX.054-285-9776 |