第169回国会 参議院農林水産委員会 |
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●農林水産委員会質疑概要 平成20年3月27日 |
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水産加工業施設改良資金融通臨時措置法について | ||||
(牧野委員)なぜ法律に基づいて水産加工業を特定して融資するのか、その必要性と意義を問いたい。 (若林農林水産大臣)漁獲される水産物のうち半分以上が加工に回すことになっている。加工業がしっかりすることが沿岸漁業の振興のためには大事である。水産加工業者が投資により体質改善を図るために大きな意味を持っていると理解している。 (牧野委員)水産加工業の定義とはなにか。 (山田修路政府参考人) 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法案の中では定義を設けていない。 (牧野委員)今回の法案で非食品加工業も対象になったが、例えば産廃の処理の中でなんらかの形でリサイクルすればそれも対象になるのか。 (山田修路政府参考人) おおむねいいと思う。 (牧野委員)金融機関について。株式会社日本政策金融公庫の規模や業務内容について簡単に伺いたい。 (青木一郎政府参考人)業務は農林水産業関連、中小企業関連、国際金融関連等の貸付業務。規模は、貸付残高26兆円。職員8200人。 (牧野委員)全株国が保有するのに株式会社にする理由とは何でしょう。 (青木一郎政府参考人)民間企業会計の適用、企業的組織運営の導入による効率的な運営を図るため。 (牧野委員)対象地域が沿海都道府県となっているが、現在では内陸においても水産加工業はある。対象地域についてこれからどのように変えていくのか。 (山田修路政府参考人)法律改正の予定はない。ただこれからは沖縄には別の公庫があるので、沖縄を除いた全ての都道府県を対象とすることで検討していきたい。 (牧野委員)魚種について、17種+海藻になっているが他にもたくさん加工品はあると思う。私の地元のサクラエビも入っていない。魚種については考えられたほうが良いのでは。 (山田修路政府参考人)対象魚種については逐次見直しをしている。今までは原材料として10万トンだったが漁獲量5万トンという基準に。さらに対象魚種を増やした方がいいということで1万トン以上ということになった。これによって2種類追加しているが、甘エビは基準に達しないということで・・・ (牧野委員)サクラエビ!! (山田修路政府参考人)すみません。サクラエビについても要件が達するように成りましたら追加したいと思っている。 (牧野委員)海の魚ばかりではなく川の魚も入れてもいいのではないか。 (山田修路政府参考人)この基準は川魚を排除しているわけではなく、要件を満たすものがないためである。 |
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第169回国会 参議院農林水産委員会(全文) |
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○牧野たかお君 それでは、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法案について、質問をさせていただきます。 今、藤原委員が山田長官にお聞きになったものですから、私は大臣に最初伺おうと思いますけれども、事前にいただいた資料等を見させていただいたところ、これまでの融資実績というのが平成五年次が百六十五億円ぐらいで、これがピークということで年々減少をしておりまして、平成十八年度では四十五億円程度まで落ち込んでおります。まあ、ちょっといじわるなことを申し上げますと、ほかの融資制度を使えばわざわざこの四十五億円程度のこういう資金の貸出しというのが本当に必要かどうかという意見も多分出てくると思いますけれども、まあ私は必要だと思っておりますが、なぜ法律に基づいて水産加工業を特定して融資するのか、その必要性と意義を大臣に伺います。 ○国務大臣(若林正俊君) 委員御承知のとおり、漁獲されます魚類の中で、加工に回すというのがもう半分以上なんですね。生で食べる加工の需要というのが非常に大きな割合を占めております。ですから、いろんな形の加工が行われるわけですが、加工業がしっかりするということが特に沿岸漁業の振興のためには非常に大事だという認識をまず加工業について持っております。 そこで、この加工業を見てみますと、浜々で揚がったものを加工するというのが基本的な形になっているためでしょう、その多くが零細な事業者でございます。したがって、多額の資金を一般の金融機関から調達することは困難だという場合が少なくありません。ちなみに、水産加工所で見ますと、従業員が十九人以下、つまり二十人未満が七四%を占めているというそういう実態にございます。 そういう中にありまして、原材料の供給事情が悪くなってくる、製品の販売環境も好ましくないといったようなことで、水産加工業全体の設備投資意欲が減退してきているというのが背景にあると思います。先ほども申し上げましたように、特に沿岸の漁業の振興のためには大事な加工業でありますだけに、このことは重大な問題だと思っております。しかし、現実は、そういう加工業の投資意欲が落ちてきているというようなことを受けまして、加工資金の融資実績が以前に比べて低水準となっているわけでございます。 この加工業を取り巻く状況というのは、国際的な水産資源管理が更に強化されると、また、我が国の周辺水域の資源状況が悪化していくということに加えまして、実は、中国を始めとして世界的に水産物の需要が増大していますから、水産物の生の輸出というものも進んでいくわけですね。ますます加工業としては原材料の確保というのが難しい状況が生まれてくると、こういう状況にございますので、いろいろなところから資金供給がなされておりますけれども、この農林漁業金融公庫の資金というのは、まず、十年以上十五年未満という一般には供給されないような長期の資金であるということと、金利も非常に低利の金利を提供しているというようなことでありますから、零細加工業者にとっては非常に頼りになる資金だというふうに認識いたしておりまして、そういう厳しい状況に置かれている水産加工業者が投資によりまして体質改善を図る各種の近代化投資などについては、これを進めていく意味で大変大きな意味を持っていると、こう理解をいたしております。 ○牧野たかお君 ありがとうございました。 条文等を読ませていただいて、こういう融資制度の法律というのは一番分かりやすくなきゃいけないと思うんですが、そもそも対象とする水産加工業というのが、私なんかもちょっといろんな資料を見させていただきましたけれども、何かあいまいなような気がいたしましたけれども、ここで対象としている水産加工業というその定義はどういう定義としてお考えでしょうか。 ○政府参考人(山田修路君) 水産加工業の定義についてお尋ねでございます。 委員から御指摘がありましたように、この法律では水産加工業ということについて定義を設けておりません。考え方としましては、水産動植物を原材料として加工した製品を製造する事業を広く含んで水産加工業と言っております。水産加工業という定義がある法律も実はありまして、水産業協同組合法などでは具体的に、食料、飼料、肥料、のりなど、それから油あるいはというような形で特定のものを具体的に書いてありますけれども、この法律は書いてございません。そういう意味で、水産動植物を原材料として加工したものをすべて広くとらえているということでございます。 ○牧野たかお君 分かりました。要するに、水産資源であれば、それを加工することであればどれでもいいということであろうと思います。 今回、食品ではない加工業でも、非食品加工業も対象とすることになりましたけれども、それも非常に時代に合っていいなと思っておりますが。これも、要は生でなければ、手を加えれば要は何でもいいのかなと思っておりますけれども、今のお話にあったみたいに、非食品の中でいえば肥料も飼料もあるでしょうし、またさっきお話がありましたように、産廃の処理の中で何らかの形でリサイクルすればそれも対象になるんだというふうに思っておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。 ○政府参考人(山田修路君) 今委員からお話がありましたことでおおむねいいと思います。 つまり、いわゆる丸のまま、手を加えずに丸のまま出荷されるものは加工品ではありませんけれども、それ以外のものは水産加工品でございますので、通常念頭にあるようなすり身ですとか缶詰ですとかいうもののほかに、例えば切り身ですとか、あるいは委員からお話がありましたほかの非食用のものについても水産加工業の対象ということでございます。 ○牧野たかお君 それでは、今度は融資機関の方の話を質問させていただきますけれども、農林漁業金融公庫が中小企業金融公庫とか国民生活金融公庫とかと一緒になって今度は株式会社日本政策金融公庫に移行していくわけでございますけれども、この日本政策金融公庫というのは、今年の十月にそうなるわけですけれども、規模だとか業務内容というのは、簡単で結構ですけれども、どうなっているのか、行革推進本部に伺いたいと思います。 ○政府参考人(青木一郎君) お答え申し上げます。 日本政策金融公庫の業務でございますが、現行のそれぞれの政策金融機関が行っております業務、すなわち農林水産業関連、中小企業関連、国際金融関連等の貸付業務を引き続き行うということになっております。 統合に伴いまして店舗の統合や人員の削減を行いまして、統合メリットを生かしながら、既存の業務を見直しつつコストの削減を図るほか、民間でできることは民間にゆだねるとの観点から、中小公庫の一般貸付の廃止等の業務の見直しを行っておるところでございます。 日本政策金融公庫の規模でございますが、統合の対象となります現行の政策金融機関のデータでお示しをいたしますと、貸出残高で約二十六兆円、これは十八年度末の実績でございます。それから、職員数で約八千二百名、これは十九年度の予算ベースでございます。というようなことになっております。 ○牧野たかお君 この日本政策金融公庫というのは株式会社になるわけですけれども、株式会社という、これはもう全額政府が株を保有する株式会社でしょうけれども、株式会社にする理由というのは何でしょうか。 ○政府参考人(青木一郎君) 日本政策金融公庫の法人形態が株式会社である理由でございますが、法人形態を株式会社といたしましたのは、会社法に従った運営を行うことにより民間企業会計の適用、さらに、企業的組織運営の導入による効率的な運営を図るためでございます。 また、日本政策金融公庫は引き続き政策金融を実施する機関でございまして、業務を的確に実施していくこととなるわけでございます。このため、国は株式の総数を常時保有すること、国が引き続き資金調達について支援をすること、予算について国会の議決を受けること等の規定が設けられております。 これらによりまして、日本政策金融公庫は、強固なガバナンスを発揮しながら、透明性の高い効率的な事業運営と政策上必要な業務の的確な実施を図ることができるものと考えております。 ○牧野たかお君 二十六兆円もの融資残高があるという、本当に巨大な公的なそういう組織ができ上がるわけですけれども、農林金融公庫というのは、要するに、農業、林業、漁業、そういう一次産業に対する専門の知識を持った職員がそういうところに融資を行うわけですけれども、そういう専門的というか、一次産業を守る、また振興させるための組織だったものが、そういう大きな組織の中に組み込まれて本当に今までと同様の機能が果たせるかどうかというのは若干心配するところもあるんじゃないかと思いますけれども、その機能が本当に維持できるかどうか、大臣、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お聞きします。 ○国務大臣(若林正俊君) もう委員も十分御承知でございますが、農林漁業というのは、他の産業に比べまして大変自然条件の影響を受けやすいとか、あるいは生産サイクルが長い、つまり仕込みから製品ができるまでの期間が長いといった様々な特性を持っておりますから、こういう農林漁業には長期低利な設備資金が必要であるにもかかわらず、この資金ニーズに民間金融機関では十分対応できない、そういう特性があるというふうに考えております。 そういう意味から、今の農林漁業金融公庫の資金というのは、我々は日本の食を支える担い手たる農業者の育成でありますとか、水産資源の回復・管理を推進をし、そして水産資源を有効に活用する漁業生産というものを維持発展させていくというような、国民生活と密接にかかわる食の改善、安定につながっていくという政策目的を実現するために、民間金融機関では対応できない、長期で、そして低い固定金利の設備資金の融通を行っているわけでございます。 そういう意味で、新しく株式会社形態になります公庫におきましても、こういう農林漁業金融の特性というものが制度金融として、政策金融として維持されますように、その業務の運営、執行、そして管理、指導という面でそういう体制を整えるということを考えているわけでございまして、そういうような執行体制をしっかりと確保することによりまして、従来農林漁業金融公庫が対応していた特質のある農林漁業金融が維持されていく、そういうふうに考えており、またそのようにしなければならないと、このように思うのでございます。 ただ、この改革に当たりまして、新しい政策金融公庫においては、一方で、行政改革推進法に基づきまして、大企業向けの融資というのはもう民間金融に任せたらいいじゃないかという、これは農林漁業に限らず全般的にあるわけでございますが、そういう意味で、食品産業につきましても、大企業の融資も従来あったわけでございます。そのことについては、この趣旨によりまして、これらは民間金融で対応可能であると、また対応できるようにしていくべきであるという考えで、大企業向けの食品産業融資は廃止して、官から民へという政策金融の改革の方向に沿った対応をしながら、繰り返しでございますが、農林水産分野について金利や償還期限などの貸付条件についてその特性に応じた今までと同様の措置を講ずることによって資金ニーズに対応できるようにすると、こういうことでございます。 ○牧野たかお君 それでは、今までどおり農林漁業金融公庫の機能は維持するというふうに今受け止めました。 今までは改正するところの部分の質問をさせていただきまして、あとは改正しない部分のところを伺うんですが、この法律で行きますと、要は対象となる地域が元々施行令で、昭和五十二年のその法律ができたときに、「農林水産大臣が指定するもの」というふうになっておりますが、その中で、表現とすると、沿海都道府県というふうになっておりまして、沖縄県も除かれているんですけれども、沖縄県は沖縄県を対象とした金融公庫があるから多分そっちでということじゃないかと思いますけれども、何でそういうことを聞くかというと、もう今は別に沿海部だけで水産加工をしているわけじゃなくて、要は海に面していない県だって水産加工をしているところもあるでしょうし、またもっと言えば、山梨県、米長さんがそうですけれども、の名物はアワビの煮貝ですから、そういう特産品もありますし、ですので、この沿海都道府県たるのもちょっと何か時代に合っていないなというふうに思います。 ひとつ対象地域について、これはどうなっているのか、そしてまたどういうふうにこれから変えていくのかというお考えを伺います。 ○政府参考人(山田修路君) 対象地域についてでございます。委員からお話がありましたように、この部分については法律改正は予定をしておりません。ただ、実際の運用についてはこれから、来年度から委員が御指摘があったような形で変えていきたいというふうに考えているところでございます。 具体的に申し上げますと、これまでは、委員がお話がありましたように、沿海都道府県に限定をしていると。これはまさに水産加工業の立地が主にそういうところが中心であったからということなんですけれども、委員からの御示唆がありましたように、近年、輸送機関が発達をしてきておりますし、内陸部に立地をする加工業者さんももちろん出てきているわけでございます。また、非食用のものを作っていくというようなこともありますと、これからはやはり沿海部に限定する理由は余りないのではないかと。むしろ、内陸も含めて、沖縄県については委員から御指摘がありましたように別の公庫がありますけれども、沖縄県以外のすべての都道府県を対象とするということでこれから検討をして、そういう仕組みにしていきたいというふうに考えているところでございます。 ○牧野たかお君 その方が私もいいなと思いますけど、実はもう一個、魚種も定められているんですが、ちょっと読みますと、アキサケ、アジ、イカナゴ、イワシ、カツオ、カレイ、サバ、サンマ、スケソウダラ、タイ、ブリ、ホッケ、マグロ、イカ、カキ、ホタテガイと海藻というふうに書いてあるんですけれども、私もこれ見たときに、こういうふうに十七種とプラス海藻になっていますけれども、結構ほかにも加工品、加工する海産物というのはいっぱいあるよなと思って浮かぶものをちょっとメモしたんですが、タコとかアマダイとかサザエとかアワビとか抜けていますし、私のところは駿河湾がございまして、サクラエビというのはもう静岡県の代表する水産物の加工品で、入っていないものだから、何で入っていないのかなというふうに思ったんですけれども、これも何というんでしょう、何か多分もう漁獲量とかそういうので昔、昭和五十二年当時決めたのかもしれないんですが、もうこれもある意味では魚種ももうそういうふうに絞らなくてもいいんじゃないかという気がしますし、それと、何といっても私のところはもう有名なサクラエビが入っていないのを非常にむっとしたんですけれども、とにかくそういうことをもう一回ちょっとこれも、魚種を考えられた方がいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○政府参考人(山田修路君) 対象魚種でございますが、これについては制度発足から逐次見直しをしております。 委員からお話がありましたように、当初は加工用の原材料として十万トンという基準で引いておりましたけれども、前回の改正のときに漁獲量五万トン以上ということで線を引き直しまして、今の十八種類になっているわけでございます。具体的には、年間の漁獲量が五万トン以上かつ加工原料として利用度合いが高いという基準でやっておりますけれども、これにつきましては今回の制度改正に合わせましてやはり見直しをしていきたいというふうに考えております。特に、対象魚種を増やしていった方がいいんじゃないかということで、更に今の基準に追加した新しい基準を考えております。 その今の考え方といたしましては、今申しました五万トンという基準がございますけれども、これにつきましては一万トン以上ということと、それから資源回復計画というのがございますが、その資源回復計画に取り組んでいて、かつ資源が回復してきている魚種というようなことで考えております。これによりまして、今回の見直しに合わせましてカニとハタハタがこれに該当するということで追加を予定をしておりますけれども、甘エビにつきましては残念ながら漁獲量もまだ少なくてこの基準に達しないということで…… ○牧野たかお君 サクラエビ。 ○政府参考人(山田修路君) 済みません、サクラエビにつきましては達しておらないということで、またこういった要件を達するようになりましたら追加ということも検討していきたいと思っております。 ○牧野たかお君 時間がもうなくなりましたので、もう一個だけ今の魚種で追加をしますけど、これはもう海の魚種ばっかりで、水産加工の対象になるのは海の魚種だけなんですが、私は内水面という、要するに川の魚だって別に入れてもいいんじゃないかなと思うんですが、各地でやっぱり農村の地場産品でアユとかヤマメとかアマゴとかイワナの甘露煮とかいろいろ加工したものは結構どこでも作っていると思うんですよね。だから、必ずしも海のばっかりじゃなくて川の魚も考えていってもいいんじゃないかと思いますが。 ○政府参考人(山田修路君) この基準の考え方は、内水面の魚を排除しているわけではないわけでございまして、今言いました今回の基準を新たに追加をして、種類を追加しましたが、そのときも内水面でも対象になるものはないかということで検討はしたんですが、残念ながらやはり今回は要件を満たすものがなかったということで追加が行われない予定でございます。 ○牧野たかお君 時間がなくなりましたので、これからの、もう一度ちょっとそれはほかの場面でまた再検討をお願いすることにいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。 |
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